[SIerを訪ねてvol.13]メカもロボットもお任せ【後編】/古賀機械製作所
安全を改めて考える
同社は今のところ、協働ロボットを使ったシステムを立ち上げた実績はない。「引き合いはあるので、今後協働ロボットシステムを立ち上げることはあるだろう。その時に備えて、安全について改めて考えなければならない」と古賀専務。 システムを立ち上げる同社と、運用する顧客の間で、安全に対する意識の高さが違うこともある。その差を埋めることも重要だ。 同社では設計に携わる技術者を中心に、安全に関する講習を受けている。「セーフティーアセッサなどの資格取得を一つの通過点として、根本から安全を考えるようになりたい」と古賀専務は語る。 「普段から安全のことを考えて設計していれば、将来的に新しい規格や高いレベルの安全確保を要求されたときに、それをクリアできる設計を発想できる。顧客の現場の安全を確保するだけでなく、われわれ設計する側にとっても安全について知見を深めることは意義がある」と説く。 協働ロボットを求める現場は、安全柵を設置するスペースの確保が難しく、協働ロボットを使わざるを得ないようなレイアウトになっていることが少なくない。「特に食品や医薬品業界では、狭いところに直列のラインを平行して並べている工場が多い。そのラインのすき間に人の動線があるので、協働型以外のロボットを入れるのは難しい」と古賀専務は指摘する。
自動化技術がニーズに追いついてきた
同社は専用機や自動機に組み込む形でロボットを使うことが多いが、「最近では、専用機や自動機での自動化に向かない作業の自動化ニーズも増えてきた」と古賀専務は話す。そうしたニーズにも協働ロボットならば対応しやすく、「プログラムを変えるだけでこれまで人手でしていたさまざまな作業に対応でき、自動化技術がニーズに追いついてきた」と言う。 また、「人手不足や技能不足、働き方改革などに対応したり、モノのインターネット(IoT)を活用して上位の生産管理システムと連携するなど、自動化に対するユーザーの考え方も変化している」と話す。その一方で、「ニーズをヒアリングすると、実現したい自動化システムのイメージが漠然としていることも多い。漠然としたイメージから具体的にシステムに落とし込むのは難しい」と指摘する。 現在会社として力を入れるのが、システム開発の発想力を磨くこと。「ロボットはプログラミング次第で多様な使い方ができるが、それを生かすためにもシステム全体の構想が重要で、どう運用するかまで考えるのが大事。若手技術者にも、ロボットの扱い方をマスターするだけでなく、システムの中でうまく使うことを学んでほしい」と語る。
――終わり (ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)