[沖縄ウィークvol.5]デジタル技術とロボットを根付かせるには⁉/沖縄県工業連合会 我謝育則専務理事
自動化のニーズは高いが…
――沖縄県工業連合会として、沖縄の自動化のニーズをどう捉えていますか。 県内の企業は自動化を必要としています。人手不足が深刻で、企業が求人を出してもなかなか人が採用できません。10年ほど前は失業率が高かったのですが、だんだんと失業率が低くなり、いわゆる「売り手市場」となりました。 沖縄県は中小零細企業が多いだけに、各社とも採用活動には苦戦しています。人の確保が難しいからこそ、デジタル技術を生かした省人化や自動化を進める必要があるでしょう。 また、沖縄県では最近、内需の拡大だけではなく東南アジアなどの海外の販路拡大にも取り組んでいます。海外に販路を見いだすとなると、品質管理が重要になります。そうなると、人海戦術では厳しいので、自動化のニーズはなおさら高まるでしょう。 ――どういう取り組みをしていますか。 内閣府沖縄総合事務局と一緒に、産業技術総合研究所から講師を招き、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)関連のセミナー「AI・IoT活用ものづくりセミナー」を当会の18年度事業で3回開催しました。AIやIoTといったデジタル技術に関心のある企業は沖縄県にも多いです。しかし、何から手を付ければいいのか、コストはどれぐらいかかるなどを把握している企業は少ない。そのため、初歩的なことから解説するセミナーを実施しなければなりません。ロボット関連のセミナーはまだできていませんが、今後検討したいです。
将来見越して情報収集を
――沖縄県の企業にもAIやIoTは根付くでしょうか。 非常に難しい、というのが実情です。AIやIoTの最初のステップとして、機械に何らかのセンサーを搭載し、稼働状況を可視化する必要があります。 先ほども言いましたが、沖縄県は小規模な企業が多い。AIやIoTの導入を主導するキーパーソンがいたとしても、その人は目先の仕事に追われています。セミナーを受けるために会社を抜けることができません。 ――こうしたジレンマを解消するためにどういう取り組みをしていますか。 結局のところ、デジタル技術に関する情報を提供し続けるしかありません。IoT技術を駆使すれば省人化ができるということを、順序立てて細かく説明する必要があります。プロセスを詳細に教えなければ、導入は広がらないと考えています。 小規模な企業の中には、ITを使いこなせないところもあります。「IT化とは何か」「可視化とは何か」「可視化するとどういうメリットが得られるか」などを、われわれでかみ砕いて具体的な形に落とし込んだうえで情報を提供しないと、前には進まないでしょう。 ロボットの導入も同じで「ロボットとは何か」「コストはどれぐらいかかるか」「どんな補助金制度が使えるか」など、さまざまなことを細かく分析して提示する必要がありますね。 ――最後に、沖縄県の企業に一言お願いします。 目先の仕事が大事であることは分かります。ですが現在は、AIやIoTに関する知識を取り入れなければならない過渡期でもあります。日々の仕事に取り組む一方で、将来を見越した情報収集もしてもらえればと思います。 ――ありがとうございました。