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2020.03.23
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[沖縄ウィークvol.1]ウチナーに来るかロボットの波!? 沖縄の自動化ニーズの今

有効求人倍率は6年連続で最高値更新

沖縄県と全国の有効求人倍率の推移(出所:厚生労働省沖縄労働局)

 手作業が多くなりがちとはいえ、沖縄県の製造業にも徐々に、そして確実に自動化の波が押し寄せている。  その理由は、人手不足への対応と生産性向上の2つだ。  中でも、人手不足は沖縄県でも深刻化している。10年ほど前の県内の有効求人倍率は0.30倍前後で、求職者数が求人数を上回る「買い手市場」だった。だが、ここ数年は右肩上がりで推移し、求職者数と求人数が逆転した「売り手市場」になっている。  厚生労働省が20年1月31日に発表した2019年の沖縄県の平均有効求人倍率は前年から0.02ポイント増加し1.19倍となった。全国平均の1.60倍と比較すると低い水準だが、6年連続で本土復帰してからの過去最高値を更新した。  内閣府沖縄総合事務局(沖総局)の経済産業部地域経済課の新崎(あらさき)治彦産業技術係長は「製造業のどこの企業に行っても『人がいない』と言われる」と現状を話す。

沖縄県だけでビジネス成立せず?

「沖縄県だけでSIerビジネスを成立させるのは難しい」とカサイエレックの立花大資沖縄事業所長

 だが、沖縄県の製造業の企業がロボットを導入するには、大きなハードルがある。  ロボットを導入した企業は県内でも珍しく、例えば19年1月に2台のロボットを導入した那覇王冠(沖縄県糸満市、玉城<たまき>幹雄社長)には、多くの県内企業が工場見学に訪れるという。    沖縄県でロボットを普及させるのが難しい理由はいくつかある。主な要因の一つには、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)をはじめとした自動化関連の相談窓口が県内に少ないことが挙げられる。沖縄以外の本土には数多くのSIerがいるが、沖縄県に進出する企業は極めて少ない。  17年に沖縄県に進出したSIerのカサイエレック(愛知県大口町、葛西泉社長)の立花大資沖縄事業所長は「県内の仕事量が少なく、沖縄以外の本土と同じ基準で製作した自動化システムだと、下手すれば1カ月分の仕事量を10日でまかなえる。自動化システムを導入したからといって、システムの能力を十分に発揮できる仕事量を県内の企業が確保するのも難しい。こうした市場性を踏まえると、沖縄県だけでSIerのビジネスを成立させるのは難しい」と分析する。

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