2019.12.02
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[特集 国際ロボット展vol.7]「次世代の製造現場をお見せしましょう」/KUKA

複数のロボットシステムが連携

 搭載するLBRイーバは、普通の協働ロボットではない。KUKAでは同製品を人の感覚に近づいた「センシティブロボット」と呼ぶ。7軸全てにトルクセンサーを内蔵しており、ロボットの外部からの力を感知し、自身の力や動作速度、空間位置を制御できる。  そのため、従来は人間にしかできなかった、手元で微調整の要るような組み立て作業などを±0.1mmの繰り返し精度でこなす。この高精度のロボットがAGVで移動することにより、用途も稼働できる範囲も広がる。2019国際ロボット展では、加工システムの段取りをする。

 ただ、「わが社の理想である、適応性の高い生産ラインは遠い未来の話。実現にはまだまだ時間がかかるだろう」(星野社長)と、理想は理想と割り切る。そこで今回展では、AGV型のKMRイーバを導入すれば、現状の生産ラインを大幅に変更しなくても、それぞれの要所だけでも自動化できる点を強調する。

ロボ切削は珍しくはない

EMO2019では、KUKA本社がロボットによる切削や研削加工を提案した

 また、ロボットを直接加工に使うニーズが高まり、同社は積極的に提案する。例えば、今年9月に開催された「欧州工作機械見本市(EMO2019)」で、ドイツのKUKA本社はロボットでの自動車のエンジン部品の切削や研削加工を提案した。汎用性の高いロボットで切削加工ができれば、従来よりも応用の可能性が広がる。  切削加工向けにKUKAのロボットが評価されているのは、「本体の剛性の高さ」と「動作する軌道の精度の良さ」だ。「欧州ではロボットで切削加工する事例は珍しくない。日本でも近年、実例が増えた」(星野社長)。  日本では、同社と協力関係にあるシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)が、KUKAのロボットを使った切削加工システムを、加工物のサイズなどの条件別で数種類のパッケージにして販売する。国際ロボット展でも、ロボットによる切削加工を提案。加工システムの一つとしてロボットが、切削加工を模したエアカットをする。  またロボットによる切削加工用のソフトウエアも提案する。工作機械からロボットによる切削加工へ置き換える場合、プログラミング言語の違いが障壁になる。KUKAには、「KUKA.CNC」というソフトがある。これを使えば工作機械のNC制御に使うGコードを、ロボットの制御をする言語に変換できる。

医療向けロボを展示

「新たなニーズに出会いたい」と星野社長

 同社は医療分野にも、ロボットを提案する。iREX2019では、医療現場で医師をサポートするロボットも展示。医療向けロボットには、人と共同で作業できる器用さだけでなく、衛生や安全への信頼性も要求される。  星野社長は「医療関係者への訴求が一番の目的。ただ、他業種の来場者が、このロボットを見ることで、新たな使用方法を発想することもある」と新たなニーズとの出会いを期待する。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)

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