• 活用事例
2019.05.10
★お気に入り登録

[ロボットが活躍する現場vol.3]ロボットを生かすには「標準化」が鍵【後編】/山田製作所

センターも砥石も自社設計

砥石はほぼ全て自社で成形する

 標準化を進めても高度な加工ができるのは、ワークを固定する器具の設計や砥石の成形に独自のノウハウがあるため。   マイクロメートル単位の精度を実現するため、同社は円筒研削盤の加工ではワークの固定にチャックと呼ばれる把握器具を使わない。ワークの回転軸の中心を支持するセンターという器具を使い、ワーク両側の端面を支えて加工する。  「チャックでワークを把握すると、ワークを回転させたときに10μm近く振れてしまう。それでは±1μmの精度は出せないので、ワークの両サイドをセンターで受けて加工している」と山田社長。センターは全て自社で設計するという。  また、研削砥石も対象ワークの形状に合わせ、ほぼ全て自社で成形する。山田社長は「ノウハウはこうしたセンターや砥石の工夫にある。当社では新しい設備を積極的に導入しており、設備の性能自体も非常によい」と語る。  標準化を進めても±1μmの高い精度を担保できるのは、根底にはこうしたノウハウの蓄積があるからだ。

IoT技術で稼働状況の可視化も

「若い女性の採用やロボットの導入も、あくまで売り上げと利益の増加させるための取り組み」と山田英登社長

 14年に山田社長が社長職に就いてから、同社の業績は好調に推移している。  「標準化の取り組みに加え、若い女性の採用やロボットの導入も、あくまで売り上げと利益を増やすための取り組み」と山田社長は語る。  今後も標準化を進め、ロボットを使った自動化にもさらに力を入れていく。さらに、モノのインターネット(IoT)技術を生かした設備の稼働状況の可視化にも取り組む。  だが、中には簡単に標準化できない領域もある。そこは競合他社と差別化できる自社の強みとして磨き続ける。  標準化に取り組む一方で、山田社長は「標準化すると、仕事が単純になりつまらなくなる」と懸念する。そこで将来は、単純にロボットシステムを導入するだけではなく、ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)機能も自社で担い、ロボットシステムの構築など“頭を使う仕事”を従業員に任せる考えだ。

――終わり (ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

※この記事は「月刊生産財マーケティング」2019年4月号の「人に知恵 現場に技」を加筆、再編集したものです 関連記事:[ロボットが活躍する現場vol.3]ロボットを生かすには「標準化」が鍵【前編】/山田製作所

★お気に入り登録

BASIC KNOWLEDGE