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2024.07.12
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大盛況の3日間、計4万6000人以上が来場/ロボットテクノロジージャパン2024

通い箱をロボットが準備

 製造現場では、部品や製品を入れて搬送する「通い箱」と呼ばれる樹脂製コンテナが多く使われる。愛知県には製造業が集積しているため、通い箱を準備するロボットシステムも脚光を浴びた。  デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)のブースでは、通い箱に「かんばん」と呼ばれる商品管理カードを挿入するデモを披露した。特許出願中のロボットハンドを搭載しており、通い箱の搬送からかんばんの差し替え、上ふたの設置までの幅広い作業を1台の協働ロボット「COBOTTA PRO(コボッタプロ)」が担う。  担当者は「出荷作業の自動化はまだまだ進んでいない。こうした分野にも自動化提案のアプローチをかけたいと考え、今回のデモを展示した」と話す。  Mujin(ムジン、東京都江東区、滝野一征最高経営責任者<CEO>)は工場物流の自動化を提案した。国内初披露のパレット(荷役台)保管式の立体自動倉庫も話題を呼んだが、ロボットアームによる通い箱の積み付けも注目を集めた。  通い箱の積み付けシステムは他の展示会でも展示しているが、今回新たに2色コンテナや半透明の上ふた付コンテナに対応した。従来からの3Dビジョンシステムに加え、色の情報を取得できる2Dビジョンシステムを組み込むことでこれらを可能にした。  ロボットアームも無人搬送車(AGV)も自動倉庫も、全て同社のコントローラー「Mujinコントローラ」でまとめて制御や管理ができる。

デンソーウェーブは通い箱の準備作業を自動化
2色コンテナにも対応したMujinのシステム

選択肢増える搬送の自動化機器

 搬送を自動化する装置を展示する企業も多かった。人手不足が深刻化する中、搬送のような作業は極力自動化したいとのニーズは高い。  ヤマハ発動機はリニア搬送システムを組み込んだ自動化システムを展示した。「リニア搬送システムを開発する企業が増えているが、ヤマハ発動機はこの分野のパイオニアで、国内ナンバーワンのシェアを持つ。豊富な実績に裏打ちされた信頼性も強みの一つ」(ロボティクス事業部営業企画担当者)。今回展では生産ラインを止めずにNG品の手直しなどができる「3列水平循環構造」のシステムを展示した。  その他、建屋間など屋外搬送向けには同社と自動運転技術に強みを持つティアフォーが共同設立したeve autonomy(イヴオートノミー、静岡県磐田市、星野亮介CEO)の自動運転EVを紹介した。  岡谷鋼機はAGVや無人搬送フォークリフト(AGF)などを組み合わせた物流の自動化システムを展示した。3Dカメラを搭載したAGFが鉄製のパレットの形状を認識し、正確に積み上げるデモも実施した。  名古屋本店メカトロ本部新事業推進部の岩田雄一室長は「今回展示したのは、物流の『2024年問題』や労働力不足に貢献する自動化システム。倉庫内だけでなく、生産ラインの工程間の自動化にも対応できる」と話す。

ヤマハ発動機はリニア搬送システムなどを展示した
岡谷鋼機はAGVやAGFなどを組み合わせて提案
次回展は2026年初夏に開催予定

 この他にもさまざまな企業が各種ロボットや自動化機器を提案した。実際の展示の一部は「会場速報」でも見ることができる。  次回展は2年後の2026年初夏の開催を予定している。

(RTJ取材班)

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