2024.07.02
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食品機械展でロボットに熱視線【その4】/FOOMA JAPAN2024

食品に適した周辺機器が充実

 真空グリッパー用の吸着パッドなど、ロボットの周辺機器の展示もあった。  コンバムは新素材の吸着パッド「ハイジェニックシリーズ」を展示した。全行程をクリーンルーム内で製造した吸着パッドで、厳格な衛生管理を求められる食品や医薬品の製造現場に適する。「クリーンルーム内での製造はどのメーカーもやっていない。食品現場でも安心して使える製品」と営業部長を務める国松孝行専務は語る。  日本ピスコ(長野県岡谷市、河西利行社長)は、大型のワークに適した「VRG」をはじめ、真空グリッパーの多彩なラインアップを披露。ファナックや安川電機の協働ロボットに搭載し、さまざまな大きさや形状、材質のパッケージ詰めされた食品・材料を搬送し、幅広い製品群による提案力を来場者にアピールした。  日東工器は、電動吸着ハンド「e-VEE(イーヴィー)」を協働ロボットに搭載して動かし、来場者の目を引いた。イーヴィーは真空ポンプを内蔵し、コンプレッサーやエジェクターが不要だ。圧力センサーでポンプを自動停止させるため吐出圧力や流量を抑制でき、同能力比で最大77%の消費電力削減につながるという。

「すべてクリーンルーム内で製造する吸着パッドはわが社だけ 」と語るコンバムの国松孝行専務
日本ピスコは真空グリッパーの多彩なラインアップ
日東工器は電動吸着ハンド「e-VEE」が注目を集めた
ワコウは衣料品の技術を生かしたロボット用カバーを提案

 食品産業向けの衣料品を製造するワコウ(愛知県あま市、松田兼社長)は、ロボットに装着するカバー「WAKO(ワコウ)ロボットウェア」を展示した。グリスの落下などの異物混入を防ぎ、果汁や肉汁などの液体がロボットアーム内部に入るのを防止する。表地は高耐久ポリウレタンフィルムで耐薬品性があり、洗浄も可能。使用するロボットに合わせてカスタマイズして提供する。  

自動検査やIoTの提案も

 ロボット以外の自動化を提案する企業も多く、大手計量包装機器メーカーのイシダは、中間検査の自動化システムを提案した。  加工食品を計量して袋詰めする際、異物混入などのチェック機能がきちんと作動しているかを確認するため、工場では定期的にあえて異物を流して検出できるかの確認が行われる。これまでは一時的に製造を止めて人手で行っていたが、これを自動で行う機能を開発した。その結果はデータとして自動入力される。  モノのインターネット(IoT)に関する展示もあり、スウェーデンに本社を置く産業用ネットワーク機器メーカーのHMSインダストリアルネットワークス(日本法人=横浜市港北区、ハンス=ヨアヒム・ゾンマー社長)は、簡単にIoTシステムを構築できる中継器(ゲートウエイ)「Ewon(イーウォン)シリーズ」をアピールした。  プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)と同機器を接続するだけで、Wi-Fi(ワイファイ)などの無線通信を介してオンライン接続ができる。遠隔で生産管理や状態監視などができ、産業用ロボットのプログラムの修正などもできる。  これまで紹介してきた他にも、会場内には多数のロボットシステムや自動化システムが展示され、食品産業の人手不足を背景にいずれの展示も大きな注目を集めた。

イシダは中間検査の自動化を提案した
HMSインダストリアルネットワークスの「Ewonシリーズ」
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