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2020.05.25
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[SIerを訪ねてvol.14]ロボの力を常に100%にする会社【後編】/松栄テクノサービス

自由度増す協働ロボ、ただ難点も

 エンジニアリング事業では一般的な産業用ロボットを中心に扱うが、企画開発事業では協働ロボットシステムの導入サポートに力を入れる。  「協働ロボットと一般的な産業用ロボットの最大の違いはフットプリント。つまり所要面積の小ささ」(豊重常務)という。安全柵無しで使え、床に固定せずに使うこともでき、移動もできる。そのため、協働ロボットは一般的な物に比べて使い方の自由度が高い。  しかし、難点もある。  可搬質量が低い。安全性を確保するため動作が遅い。また専門の技術者でなくても動作を設定できるため、現場作業者が覚えることが増える。稼働させる場所を自由に変えられるため、使う場所ごとにどう動かすかを設定する必要がある。  「できることが増えれば、覚えることも増える。そうしたことをお客さんに理解してもらうことが最も苦労する」と豊重常務は話す。

中小企業が求めるロボットとは・・・

「SIer協会ができたことで連携が取りやすくなった」と豊重広泰常務

 中小企業へのロボットシステムの普及にも注力する。  中小企業は自動化へのニーズはあるものの、なかなかロボットの導入には至っていない状況だ。そこでロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の業界団体であるSIer協会では、中小企業への普及を目指し、さまざまな取り組みを進めてきた。  同協会の会員で、幹事会社も務める松栄テクノサービスも他の会員企業と共に、中小企業がロボットを導入しやすくなる仕組みの構築を目指す。  これまでは中小企業のニーズや要望を直接聞いて、システムの構築をするのが一般的だった。しかし、ロボットの導入経験が無い企業も多く、正確にニーズをくみ取って、システムに盛り込むのに時間がかかっていた。そこで、ロボットと組み合わせて使う周辺機器の大手メーカーとの事業連携に取り組み始めた。すでに研磨材メーカーなどとは連携を始めている。  例えばロボットで自動研磨システムを作る場合、SIerは多種多様なロボットシステムを構築するロボットのプロだが、研磨のプロではない。一方、研磨材メーカーはロボットの技術はないが、研磨方法や研磨システムについては専門的なノウハウを持つ。この両者がタッグを組むことで、最適な自動研磨システムをスムーズに形にすることができるという。  現在はこの事業連携が本当に有効的か、実践を重ねる中で検証しており「うまくいけば中小企業への普及も進みやすくなる」と豊重常務は期待を込める。

――終わり (ロボットダイジェスト編集部 渡部隆寛)

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