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2023.10.02
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[ショールーム探訪vol.18]虎ノ門で、ロボットの未来を体感/ゼアーレボ「未来ファクトリー」

標準品を組み合わせてシステム構築

「ユーザーの要望をすぐに実現できるように、システムは短納期の実装を心がける」と語る黒土浩太郎社長

 同社の主な事業は、ロボットのシステムインテグレーションをする「ロボティクス事業」と、物流向けの包装資材やシステムを提案する「ヴァルーン事業」。これらに加え、今後はロボットの遠隔操作を実現する「リアルハプティクス事業」の本格化を目指す。  ロボティクス事業ではファナックの協働ロボットを中心に取り扱っており、パレタイジングの自動化などを得意とする。  同社は自動化システムを、顧客の現場に合わせて専用設計する。CRXシリーズで可搬質量25kgの「CRX-25iA」などを組み合わせてパッケージ化したパレタイジングシステム「TRP-25」も提案するが、基本的には一から構築することが多いという。  受注する際は顧客と一緒にシステムの仕様などを考える。初めてロボットを導入する企業も少なくないため、その現場の困りごとや不安を払拭できるように努める。実際に現場に行き、どのような作業を自動化すべきか、適切な設備は何かを考える。  「課題に対して明確な解決策を持っていない現場にも適切な自動化システムを提案できる、コンサルティング能力がわが社の強み」と黒土社長は胸を張る。  またシステムを設計する際、ロボットの周辺機器などは可能な限り標準品を採用することを重視する。標準品であれば、製品をユーザーが在庫しておき、万が一故障した時にすぐ復旧できるからだ。  そのため特定の企業に限らず、幅広いメーカーの製品をシステムに組み込む。「今選択できる最新技術のうち、現場に必要な物をいかに組み合わせられるかが重要」と黒土社長。

いずれは待ち合わせ場所に

取材に応じた黒土社長と岡本隆也営業部長(写真右)、技術部の目黒湧希さん(同左)

 「未来ファクトリーはいずれ、一般開放して自由に出入りできるような施設にしたい」と黒土社長は意気込む。  ロボットメーカーなどが開設するショールームは通常、予約制など事前に申し込みが必要な場合が多い。それを開放して誰でも立ち入れるようにするというのは、全く新しい発想だ。  現在は未来ファクトリーに入るには予約が必要だが、安全面や警備上の問題がクリアできれば一般開放する。近隣に集まる人の間で「あのロボットの前で合流しよう」というように、同施設が待ち合わせ場所として浸透すれば、と黒土社長は期待を膨らませる。  また未来ファクトリー内部の設備も拡充していく。協働ロボットを増やすだけでなく、新たなデモシステムの設置や自律走行型搬送ロボット(AMR)の展示などを計画する。  例えば現在のデモシステムでは、段ボール箱をコンベヤーから架台へ載せ換えている。その近くに新たに棚を置き、段ボール箱を棚に出し入れするシステムも設置する予定があるという。  黒土社長は「さまざまな自動化システムを展示し、少し先の未来を体感できる場所にしたい」と展望を語る。

(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)

[取材記者から] 見やすさなどを考慮し、未来ファクトリーの室内は展示のキャプションを最低限にとどめるなど、多くの工夫を凝らしていた。ビジネス街に自然に溶け込みながら、ロボットの存在感を巧みにアピールする。「あのロボットの前で」と待ち合わせをする人を目にする日も、そう遠くないのではと思わせられた。 施設概要 名称:未来ファクトリー 所在地:東京都港区虎ノ門1-16-16 虎ノ門1丁目MGビル2階 予約申し込み:ウェブサイトの問い合わせフォームから 関連記事:[ショールーム探訪vol.17]顧客の声ダイレクトに拾い上げる/シュンク・ジャパン「CoLab」 関連記事:[ショールーム探訪vol.16]成長する「ロボの目」の礎を築く/東京エレクトロンデバイス「ロボットセンター」 関連記事:[ショールーム探訪vol.15]中国・四国地方で自動化の情報発信/トリツ機工「SRSC」

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