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2022.06.09
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ロボは食品の運搬にとどまらず/FOOMA JAPAN 2022

データを生かす

データ活用を訴求する安川電機

 ロボットやロボット周辺でデジタルデータを生かす提案も目立った。  安川電機は、AI画像検査システムと食品向けの協働ロボット「MOTOMAN(モートマン)HC10DTFP」を組み合わせて「AI×ロボットによる次世代の食づくり」を訴求した。  AIが、ハンバーグを模したサンプルの中から異物や不良品を検知。ロボットが異物や不良品を除去する。ただ取り除くだけでなく、ハンバーグの割れや欠け、焦げなど不良の種類もAIが見極める。  担当者は「要因まで判断することで、前工程を改善できる。例えば、焦げが多いと認識したら焦げない作業工程を考えるきっかけになる。ただ取り除くのでなく、データとして生かすと、食品ロスを減らせる」と話す。

デンソーウェーブはばら積みピッキングを展示

 デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)は、容器内に無造作に置かれたマッシュルームのばら積みピッキングを参考出展した。  中国のMech-Mind(メックマインド)ロボティクスの3Dビジョンでマッシュルームの位置や姿勢、大きさ、状態を把握する。そして、ばら積みピッキングをした上で「良品」と「小ぶりな良品」「不良品」に分ける。  特徴は、マッシュルームのような柔らかいものも潰さずに持つ点だ。自社製の電動ロボットハンドの爪に感圧センサーを付けて、把持力を認識しながら持ち上げる。  ソリューション事業部FAシステムエンジニアリング部の澤田洋祐部長は「今は『潰さない』程度の使い方だが、今後は柔らかさからトマトの熟度などを判断できる可能性もある。AIはカメラからの情報で判断しがちだが、人間は触感など目以外からも情報を得る。画像よりも感触の方がコントローラーの情報処理量が少なく済む」などと将来を見据える。

運搬でも付加価値を

 食品を運搬するロボットや装置の進化も著しい。  ファナックは5月に発表したパラレルリンクロボット「DR-3iB/6ステンレス」で、鶏肉を発泡トレーに高速で移す作業のデモを披露した。  パラレルリンクロボットは、高速な動きが特徴。同製品では、全体にステンレス合金を採用したため、従来機よりも本体が重い。それでも速度を落とさないように、構造や出力を工夫した。  パラレルリンクロボットではその速さを生かすため、物を挟んでつかむ動作に時間のかかるメカ式のロボットハンドでなく、吸気で吸着するタイプのハンドが使われることが多い。しかし、鶏肉など不定形な生の食品を安定して吸着するのは難しい。そこで、このシステムでは吸気で把持動作をするロボットハンドを採用。さまざまな工夫を凝らして、高速な動作を実現した。

 デンマークの協働ロボットメーカーのユニバーサルロボット(日本支社=東京都港区、山根剛代表)も吸気で動作するロボットハンドを付けて、簡単に扱える点をアピールした。今回はドイツのシュマルツ(日本法人=横浜市都筑区、ゲッテゲンス・アーネ社長)の「フィンガーグリッパーOFG」を使った。  「大まかに把持する位置を教示するだけで、しっかりとつかめる。ロボットを直接動かして教示するダイレクトティーチとも相性が良い」(担当者)。  ドイツに本社を置く制御機器メーカーのベッコフオートメーション(日本法人=横浜市中区、川野俊充社長)は、防水型のリニア搬送システム「XTS Hygienic(ハイジェニック)」を出展し、液体の充填機をイメージした動作を見せた。  担当者は「コンベヤーなどの搬送装置は、丸ごと洗浄するのが難しい。新たな搬送手段として提案したい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)

ベッコフオートメーションのXTS Hygienic
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