物流向け自動化提案がさらに加速【その1】/国際物流総合展2025 INNOVATION EXPO
物流関連の展示会「国際物流総合展INNOVATION EXPO(イノベーションエキスポ)」が9月8日~10日に都内で開かれた。物流関係の幅広いソリューションが披露される展示会で、倉庫作業を自動化するマテリアルハンドリング(マテハン)機器も多く展示された。「その1」では進化が著しい自動倉庫を取り上げる。
ロングセラー製品がさらに進化
9月8日~10日の3日間、都内の東京ビッグサイト東4~8ホールで「国際物流総合展2025第4回イノベーションエキスポ」が開催された。2年前の前回展を8000人以上上回る約5万3000人が来場した。
会場内は多くの来場者でにぎわったが、中でも注目を浴びた企業の一つが大手マテハン機器メーカーのオカムラだ。自動倉庫システム「ロータリーラックH」の新モデルを披露し、その展示の前には黒山の人だかりができた。ロータリーラックは棚が水平方向に回転する多段式の自動倉庫システム。同システムは回転式の棚と、箱の昇降機能などを備える自動入出庫装置「オートリトリーバー(AR)」で構成されるが、棚とARの間で箱を仮置きするバッファー機能を搭載。これでARが常に無駄なく稼働でき、入出庫の速度向上を実現した。
「ロータリーラックは1978年から販売するオカムラを代表するロングセラー製品。入出庫の速さを求める現場にも最適」と物流システム事業本部の町田憲治プロモーション部長は話す。
既存の棚をそのまま使える
自動倉庫ではなく、既存の棚を活用した倉庫の自動化を提案したのがシャープだ。既存の棚が並ぶ倉庫をケース移載アーム付き無人搬送車(AGV)で自動化する「スリムタッカー・ロボットストレージシステム」を提案した。
アーム付きAGVが棚から箱を取り出し、ステーションで待つ作業者の所まで搬送する。位置の認識は床面に貼った2次元コードで行い、棚の改造は不要だ。アーム付きAGVは本体幅が700mmで、900mm幅の通路も走行できる。棚の一番下の段にも箱を出し入れできる。
「アーム付きAGVは箱を背面から扱い、作業者には箱の前面が向くように置く。そのため、中の物を取り出せるように前面や上面を開けた状態の箱でもそのまま取り扱える」とスマートビジネスソリューション事業本部ロボティクス事業統轄部の宮崎篤史参事は同システムならではの長所を説明した。