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2025.10.27
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欧州の工作機械展で多彩な自動化アプローチに脚光/EMOハノーバー2025

世界最大級の工作機械見本市「EMO(エモ)ハノーバー2025」が9月22日~26日の5日間、 ドイツのハノーバーで開催された。約1600社・団体が出展し、5日間で約8万人が来場した。欧州製造業では労働力のひっ迫や熟練作業者不足が課題となっており、会場には出展者各社の多彩な自動化ソリューションが並んだ。

自動化への関心根強く

主催者のVDWは、今回展のポイントの1つに「自動化」を挙げた

 世界最大級の工作機械展であるEMOは2年に一度、西暦奇数年に欧州で開催される。今年はドイツのハノーバーを開催地とし、約1600社・団体が出展、5日間で約8万人が来場した。

 欧州製造業は深刻な人手不足が課題となっており、企業の規模を問わず製造現場では自動化需要が高い。EMOの主催者であるドイツ工作機械工業会(VDW)が、今回展のポイントの1つに「自動化」を掲げたことからも、市場の関心の高さが伺える。

ファナックは垂直多関節ロボット「M-810」で加工実演を披露

 工作機械メーカーをはじめ多くの出展者がロボットや自動化機器を出展したが、中でもファナックのブースには多数の来場者が集まった。ロボットでの切削加工に適した今年発売の垂直多関節ロボット「M-810」を使い、加工対象物(ワーク)の加工実演を披露。同製品は切削液を流しながら加工できるとの特徴を持つ。

 天方康裕シニアデベロップメントエンジニアは「欧州の展示会でもロボット切削自体は展示したことがあるが、切削液を流しての加工は初めて。来場者の反応は良い」と語る。

多彩な自動化技術を披露

DMG森精機は垂直多関節ロボットやAMRを多数展示

 DMG森精機は垂直多関節ロボットや搬送ロボットを使い、多彩な自動化提案に力を入れた。一つの展示ホールを丸ごと使い、ブース全体で「DMG MORI WORLD(ワールド)」を構築して製造業の未来を表現した。ソリューションとして展示した機械は40台以上に上った。

 新製品の5軸マシニングセンタ(MC)「DMC 65 monoBLOCK(モノブロック)2」と組み合わせたロボット「MATRIS(マトリス)WPH210」は、垂直多関節ロボットがハンドを付け替えることなく、ワークもパレット(荷役台)も搬送できる。

 他にも自律走行型ロボット(AMR)を活用し、パレットや工具、チップバケットの自動搬送デモを実演するなどして、多くの来場者の注目を集めた。

ヤマザキマザックは「Ez LOADER 125i」で簡単に自動化できる点をアピール

 ヤマザキマザックは20台の工作機械を展示し、そのうち12台に自動化ソリューションを組み合わせた。自動化セル「Ez LOADER(イージーローダー) 125i」は機械の操作パネルからロボットの動作を設定でき、機械へのワーク投入を自動化する。作業者がワーク寸法などを入力すれば、ワークをつかむ箇所が自動で算出されるため、自動化のハードルが低い。「ユーザーが簡単に扱えるかが重要な差別化要素になる」と澤田洋祐執行役員は言う。

グロブ・ベルケの自動パレット交換装置「PSS-R900」

 欧州の機械メーカーも自動化提案に力を入れた。ドイツのグロブ・ベルケは、ワークを固定するパレットの自動交換装置「PSS-R900」を披露した。従来製品と比べ、よりサイズの大きいワークも置けるようになり、可搬質量はパレットも含めて900kg。大型で重量のあるワークを機械へ供給する作業の負荷を軽減できる。

 「長時間の無人加工をする現場に提案したい。自動化技術はあらゆる産業で求められる」と日本法人グロブ・ジャパン(横浜市西区、小川晃生社長)の松元康平シニアセールスマネージャーは言う。

(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)

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