[活躍するロボジョvol.41]世の役に立つ製品を開発する/加茂精工 吉田郁代さん
ロボット業界で活躍する女性にスポットを当てた連載「活躍するロボジョ」。第41回は、機械要素部品メーカーの加茂精工で特注品の設計に携わる吉田郁代さんを紹介する。吉田さんは顧客の要望に合わせて製品の設計図や仕様書などを作成する。また、主任として若手社員の図面のチェックや指導、業務環境の改善などにも幅広く取り組む。「みんなが同じ方向を向いて設計をしていけるように、まとまりのあるグループ作りを目指したいです」と吉田さんは話す。
特注品の図面を作る
「設計グループでは特注品のご相談や受注があった時に、お客さまからの要望を基に図面を作成したり、既存製品を改良するためのデータ収集をしたりするのが業務です」と話す吉田郁代さん。2011年に加茂精工に入社し、現在は技術部技術課設計グループで主任を務める。
同社は歯車の一種であるラック&ピニオンの「TCGシリーズ」や動力伝達にボールを使用した減速機などの独自機構を有した機械要素部品を開発、製造する。バックラッシ(歯車がかみ合う際に生じる隙間)がなく位置決め精度と駆動効率の良いTCGシリーズやボール減速機、薄型で軽量の精密差動減速機を強みに、ファクトリーオートメーション(FA、工場自動化)機器や産業用ロボット、無人搬送車(AGV)などに広く採用されている。
吉田さんの主な業務は特注品の設計だ。顧客の要望を基に、製品や製品を構成するさまざまな部品の設計図、顧客に提出する仕様書などを作成する。「標準品の一部を改良する要望が多いです。軸の長さや径を変更したり、追加工をしたり、お客さまの設備に合うように仕様を変更します」と説明する。
悩みを抱え込まない
吉田さんは大学の機械工学部で材料力学や流体力学を学んだ。加茂精工に入社を決めたのは企業理念にひかれたからだ。
「『新規有用なるものを創造提案する』という最初の一文が好きです。世の中で役に立つものを開発できる点にロマンを感じました。設計に携わっている製品は普段目に見える場所では使われていませんが、『ここに使われているよ』という話を聞くとうれしくなります」と笑う。
「グループ内では意見をはっきり言う方」という吉田さん。「グループには機械系ではないメンバーや文系出身者もいます。私や上司が感覚的なノウハウで進めている作業でも、彼らには定量的な数値を明確に伝えるようにしています。図面の精度を落とさないためです」と語る。
一方、自身の性格については悩むタイプと分析する。「仕事の進め方で悩んだ時はすぐにグループ内で意見を募り、みんなで話し合いながら方向性を決めます。悩みやすい性格だからこそ、一人で抱えて行き詰まらないようにしています」と明かす。
一人の時間が何よりの息抜き
今後は若手社員の育成を目標に据える。業務を通じて人材教育の重要性を実感したという。
「後輩たちには、教えたことをしっかり身に付け、次の後輩に指導できるように育ってほしいです。今の立場になってチームの仕事を円滑に進めたいという思いが芽生えましたが、そのためには個々のメンバーのレベルアップが欠かせませんから。みんなが同じ方向を向いて設計をしていけるように、まとまりのあるグループ作りを目指したいです」と力を込める。
プライベートでは小学生の子どもを持つ母だ。今年4月からはリモートワークで仕事をこなす。「今は自分一人で過ごす時間がなによりのぜいたく。仕事の合間に体を動かす運動系のゲームをして、何も考えない時間を作るようにしています」とほほ笑む。
(ロボットダイジェスト編集部 平川一理)