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2024.05.29

連載

[注目製品Pick Up!vol.65]40年前から最前線を走り続ける/タツタ電線「高力ケーブル」

電線メーカーのタツタ電線は、ロボット向けケーブルのハイエンド製品として「高力ケーブル」をラインアップする。約40年前に独自開発した高張力合金は、高耐久性でありながら導電率も優れる。「開発当時は性能が高すぎるがゆえに用途が非常に限られていたが、ここ10年ほどで活用の幅が増え、ようやく時代が追い付いたように感じる」と産業機器電線営業部の辰馬卯恒主任は話す。

高耐久性と高導電率を両立

 タツタ電線はインフラ設備や産業機器向けの電線を開発、製造しており、ロボット向けの製品として「高力ケーブル」をラインアップする。

 素材として独自開発した高張力合金「高力銅合金」を使う。無酸素銅をベースに、微量の鉄や特殊元素を添加したものだ。一般的なロボットケーブルに使われる純銅やすず系銅合金と比べて耐屈曲性が高く、曲げ半径が小さくなる部分にも組み込みやすい。寿命の長さも強みで、一般的なロボットケーブルと比べて10倍の寿命を持つことを社内の試験で証明した。
 強度だけでなく導電率も高水準だ。「電線は原材料の開発が一番の肝になる。高張力合金は独自の配合で高い耐久性を持ちながら導電率も高められた」と辰馬主任は話す。

「高力ケーブル」は垂直多関節ロボットやスカラロボット、協働ロボットなどに使われることが多い

 高力ケーブルは、産業用ロボットの中でも垂直多関節ロボットやスカラロボットの可動部分やアームの内部に使われることが多い。「動作が速い機械はケーブルにかかる負荷が大きくなりやすい」(辰馬主任)。
 特にケーブルに負荷がかかるのが、アーム内部への配線だ。一般的にアーム内部はスペースに余裕がないため、ケーブルを伸ばせるスペースが少なく、曲げた状態で配線することが多い。

 曲げ半径が小さくなると、一般的なロボットケーブルでは、曲げた部分にかかる負荷に耐えられず断線しやすくなってしまう。耐屈曲性が高い高力ケーブルであれば、アームの内部のようなケーブルへの負荷が大きい狭所でも断線が発生しにくく、配線の自由度を高められる。直近では、一般的な垂直多関節ロボットよりもさらに配線スペースが小さい傾向にある協働ロボットや、半導体のウエハーを搬送するロボットに採用される事例も増えつつあるという。

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