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2023.11.08

連載

[注目製品PickUp! vol.60]自動車向けのAGVメーカーが開発した物流向けの新製品/愛知機械テクノシステム「低床リフターAGV」

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連製品を紹介する連載企画「注目製品PickUp!」も、とうとう60回を迎えた。今回は無人搬送車(AGV)メーカーの愛知機械テクノシステム(名古屋市熱田区、小川実社長)が発売した新製品「低床リフターAGV」を取り上げる。同社は自動車業界向けのAGVを得意とするが、低床リフターAGVのターゲット市場は物流センターなどの物流業界。物流センターで使われるカゴ台車の搬送を自動化できる。

潜り込んでリフトアップ

 愛知機械テクノシステムは物流業界の自動化や省人化の需要に応えるため、今年7月に低床リフターAGVを発売した。
 低床リフターAGVは磁気誘導式で、物流センターなどでのカゴ台車の搬送の自動化に力を発揮する。AGVに昇降機構を備えており、カゴ台車の下面に潜り込んでリフトアップしながら磁気テープの上を走行する。

 同社はこれまでけん引フックを利用してカゴ台車を搬送するけん引式の低床AGVを、自動車業界向けの主力製品として提案してきた。けん引式の低床AGVは導入コストの低さなどがメリットだが、けん引フックを刺し込むためのアタッチメントをカゴ台車に別途設ける必要があった。

カゴ台車を搬送するデモ(提供)

 一方、低床リフターAGVはカゴ台車を直接持ち上げて搬送する方式を採用しており、カゴ台車を改造することなくそのまま使用できるのが特徴だ。

 コーポレート企画部の沢田建志さんは「物流センターでは市販のカゴ台車が大量に使われており、それらを全て改造するには大きな手間やコストがかかる。そのため、カゴ台車の改造が不要な汎用性の高いAGVの方が受け入れられやすい」と説明する。

縦列配置で整列スペースを最小限に

昇降機構を備えた低床リフターAGV

 低床リフターAGVはカゴ台車の下面に潜り込めるため、カゴ台車を縦列に配置できるのも大きなポイントだ。出荷エリアなどの整列スペースを最小限に抑えられ、結果的に物流センター全体のスペース効率の向上にもつながる。

 現在は2種類の低床リフターAGVを用意しており、幅1100mm×奥行き800mmのカゴ台車と幅800mm×奥行き600mmのカゴ台車の搬送にそれぞれ対応する。

 沢田さんは「物流センターでは主にこの2種類のカゴ台車が使われるため、低床リフターAGVがあれば大部分の自動化ニーズがカバーできるが、まだまだ足りない部分もある。今後もお客さまの声を集めつつ、製品ラインアップを広げたい」と展望を語る。
 最大積載量は300kgで、けん引力は最大490N。間もなく最大積載量500kgのタイプも発売する予定だ。

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