[特集 物流機器は新世代へvol.5]新トレンドは省スペース、パレ・デパレの新製品続々
箱の事前登録なしで混載に対応
パレタイズ・デパレタイズシステムは、コンベヤーなどの搬送装置と、パレットやカゴ車などの間をつなぐ装置だ。パレタイズではコンベヤーを流れてきた荷物をパレットなどに積み付ける。デパレタイズはその逆に、パレットなどに積まれた荷物を一つ一つコンベヤー上に下ろす。
最も一般的なのは、大型の垂直多関節ロボットを使ったシステムだ。多数の吸盤を付けた真空ハンドで箱の上面を吸い付けて持ち上げる。
箱のサイズや積み付けパターンが一定の単載ならロボットに動作を覚えさせるティーチングも難しくないが、物流現場ではさまざまな箱を一つのパレットやカゴ車に積み付ける混載も多く、課題となっていた。しかし近年、ビジョンセンサーや人工知能(AI)技術などを使って混載にも柔軟に対応するシステムが提案されている。
協働ロボットを使ったシステムも
安全柵なしで稼働させられる協働ロボットでパレタイズ・デパレタイズシステムを提案する企業もある。最大可搬質量は小さくなり、動作速度も通常の産業用ロボットにかなわないが、省スペースで設置できる。
デンマークに本社を置くユニバーサルロボット(UR、日本支社=東京都港区、山根剛代表)は2月8日~19日、周辺機器メーカーやシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)23社とともにバーチャル展示会「THE COBOT EXPO JAPAN 2021 WINTER(ザ・コボット・エキスポ・ジャパン2021ウィンター)」を開催。ロボットハンドなどを製造するカナダのメーカーRobotiq(ロボティーク)と共同で、ロボティークが開発したパレタイズ用のパッケージシステムを動画で紹介した。最大可搬質量10kgのUR製ロボットと、上下の昇降軸を組み合わせたシステムだ。
台湾の協働ロボットメーカー、達明機器人(テックマン・ロボット)も、パッケージ化したパレタイズ・デパレタイズ用システムを提案する。同社のロボットにはビジョンシステムが標準搭載されるが、それだけでなく真空ハンドやロボット本体の高さを変える昇降機構、専用のソフトウエアなどをセットにしたシステムだ。19年末の国際ロボット展で実機を披露した。
SIerが協働ロボットのパレタイズシステムを提案する例もある。
コンベヤーなどの搬送装置メーカーでロボットシステムの開発も手掛けるJRC(大阪市西区、浜口稔社長)は20年10月7日、大阪市で開かれた展示会で「ロボットパレタイズシステム」を発表した。段ボールのサイズを入力し、積み付けパターンを選択するだけでパレタイズができる。協働ロボットに加え、ロボットハンドや段ボールを認識するビジョンセンサー、安全装置など一連の設備をパッケージ化した。