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2021.02.19

[特集 物流機器は新世代へvol.1] かつてないほどの注目浴びる物流自動化・省人化

“物流の自動化・省人化”、この普遍的なテーマに、かつてないほどの注目が集まっている。少子高齢化を背景とする人手不足は今後も続き、新型コロナウイルス禍で人海戦術に頼った物流はさらに難しくなった。配送の小口化・多頻度化やインターネット通販の拡大などにより物流センターの処理件数は増加し、製造業でも工場内物流のさらなる自動化が求められる。メーカー側も従来とは一線を画す新世代の物流機器を数多く市場に投入する。3月9日~12日に愛知県で開催される「国際物流総合展2021」を前に、物流自動化の最前線を追う。

自動化機器が活躍する場は多い

 ひと口に「物流」と言っても、その中身は幅広い。分類すると、輸送・保管・荷役・包装・流通加工が「物流5大機能」と言われ、近年はそれに「情報」を加えて6大機能とも呼ばれる。
 トラックの自動運転など、輸送でもロボティクス(ロボット工学)技術の応用は研究されているが、現状でロボットやロボティクスに親和性が高いのが、倉庫への入出庫や荷物の積み下ろし作業をする荷役だろう。

 荷役台(パレット)への荷物の積み下ろしや、搬送、棚入れ、ピッキング(集荷)、仕分けなど、機械化・自動化の対象となる作業が多く、コンベヤーや仕分け機(ソーター)、立体自動倉庫、無人搬送車(AGV)、産業用ロボット、各種専用自動機など、さまざまな自動化機器が活躍する。
 また、製品を箱などに入れる包装や、検品やラベル貼りなどをする流通加工にも自動化機器は使われる。

エッセンシャルだが難しい人手の確保

日本ロジスティクスシステム協会「物流・ロジスティクス分野における 労働力不足問題と生産性の向上に向けて」 (JILS総研レポート Vol.4)のWebアンケート調査結果より引用

 新型コロナウイルス禍では、報道などで「エッセンシャルワーカー」という言葉をよく聞いた。緊急事態宣言下であっても止めてはならない「社会生活の維持に必要不可欠な業務」に携わる人たちを指す言葉だ。物流はまさに、エッセンシャル(不可欠)な業界の一つだ。

 社会に不可欠な物流だが、担い手不足が深刻だ。物流関連ではトラックドライバーなどの輸送分野の人手が最も不足していると言われるが、日本ロジスティクスシステム協会JILS総合研究所が2017年に行った調査では、「荷役」の労働力が不足していると回答した企業は69.2%にもなった。71.2%が不足と答えた「輸送」に続き、2番目の水準だ。「包装」「流通加工」「保管」などでも労働力不足との回答が約半数を占めた。

日本ロジスティクスシステム協会「物流・ロジスティクス分野における 労働力不足問題と生産性の向上に向けて」 (JILS総研レポート Vol.4)のWebアンケート調査結果より引用

 また、同調査では労働力が不足している職種も聞いており、こちらでも「ドライバー(委託先)」に続き「庫内作業(委託先)」が不足しているとの結果になった。
 
 調査時の17年と今を比べると、労働力不足のさらなる悪化が懸念される。従来は庫内作業では外国人の作業者も多かったが、コロナ禍で確保が難しくなった。配送の小口化・多頻度化も年々進み、庫内作業は増えるばかりだ。
 また、たとえ人員を確保できたとしても、従来のように密集して作業するのはリスクが高い。万が一その中から感染者が出たら、業務全体に影響が出かねない。
 物流が社会にとって不可欠であるのと同様に、物流現場にも「さらなる自動化」が不可欠な時代になった。

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