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2020.06.23

連載

[注目製品PickUp!vol.25]0.1mmが分かると、活用法はこんなに広がる【後編】/アサ電子工業「高精度シリンダセンサACHシリーズ」

アサ電子工業(東京都小平市、麻健社長)の「高精度シリンダセンサACHシリーズ」。その開発は約10年前にさかのぼる。最近、ロボットハンドのメーカーやシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)などから注目を集める理由は、自動化ニーズの高まりだけではないという。同社の販売戦略やACHシリーズの具体的な用途とは。

開発当初は知名度もなく…

 アサ電子工業は1974年に設立した。当初は産業機械に内蔵される電子部品を相手先のブランドで製造(OEM)した。そこで知見と技術力を蓄え、90年には耐久性の高い軸継手(カップリング)を自社製品として発売した。
 磁気センサーにも長年取り組み、2011年に高精度化を可能にする磁気センサーの要素技術を開発して製品化した。センサー自体の繰り返し精度は0.001mmという。しかししばらくは知名度が低く、また用途も明確ではなかったため、売り上げが伸びなかった。

 やがて高精度に目を付けたロボットハンドのメーカーからロボットハンドで使いたいとの要望があり「ACHシリーズ」を17年に開発した。シリンダーの0.1mmの位置ずれを検出できる精度を備える。ハンド内部に搭載できるようにサイズを小型にし、金属加工現場でよく使う加工油剤への耐性を高めた。また、ハンド内部は、高温環境となる可能性もある。そこで、センサーの耐熱温度を85度まで高めた。

機械商社の協力で知名度向上も

「思ってもみなかった用途を思いつく顧客も」と橋本岳浩営業部長

 ロボットハンドという用途は確立できたものの、さらに拡販するには知名度の向上が必要だった。
 橋本岳浩営業部長は「一般に磁気センサーでは『高精度は実現できない』と思われており、顧客も新たな用途を考えようとしていなかった。まずは精度の高い磁気センサーの存在を知ってもらう必要があった」と振り返る。
 そこで、以前から取引のあった商社の日伝との協力関係を強化した。協業して展示会に出展し、販促ツールも改めた。具体的な用途を提案することで、知名度向上を図った。その結果、日伝を通じて顧客の要望も聞きやすくなった。
 「シリンダーは比較的、簡単な構造で動く。それを使って高精度な検知ができるならと、思ってもみなかった用途を思いつく顧客もいる」(橋本部長)という。

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