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2020.06.17

豊和がSIer事業参入、既存設備で自動化を/豊和工業

工作機械メーカーの豊和工業は昨年、ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)事業に参入した。昨年や一昨年の展示会では、ロボットを使った旋盤用チャックの自動爪(ジョー)交換システムなどを披露した。また最新の設備ではなく、工場で稼動する古い設備を自動化するシステムも提案。「未来の工場ではなく、今の工場に導入できるものを」と渡辺健司取締役機械事業部長はアピールする。

AJCシステムを実証

展示会でも披露した自動爪交換システム「AJCシステム」

 豊和工業は、工作機械の一種であるマシニングセンタと、被加工材の付け替え・搬送機器ガントリーローダーを一体構造にしたビルト・イン・ローダーなど、金属部品の加工ライン向けにさまざまな自動化装置を提案してきた。
 産業用ロボットを使ったラインを納入したこともあったが、システム構築はこれまで外注に頼ってきた。そこを自社でカバーできるよう、SIer事業をスタートした。

旋盤用チャックの爪交換を自動化できる(提供)

 2018年の「日本国際工作機械見本市(JIMTOF)」では、SIer事業の一環として、垂直多関節ロボットを使ったチャックの自動爪交換システム「AJCシステム」を披露。翌年の「メカトロテックジャパン(MECT)2019」でも展示し、注目を集めた。
 同システムを販売するには、耐久試験が必要だ。豊和工業は、同システムを自社工場に導入し、実際に切削加工をしてテストする。

古い機械とロボットを組み合わせた自動化システム「リビルド」

 このテストのために構築したのが、同社が「リビルド」と呼ぶ自動化システムだ。新設の最新機ではなく、古い旋盤にロボットを組み合わせた。
 ロボットが機械扉を開閉し、操作ボタンを押し、被加工材の着脱やチャック爪の交換をする。さらにはアーム先端のロボットハンドをマグネットハンドに付け替え、加工室内の切りくずの排出までする。
 「最新の設備じゃなく、昔から工場で稼働する機械でも十分に自動化できることを、これからアピールしたい。人間ができる動作は全てロボットでもできる」と渡辺取締役は強調する。

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