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2019.09.24

工場内にはたったの3人 、24時間止まらない工場/アマダ

アマダ土岐事業所の金型工場「T876工場」がフル稼働を続ける。24時間、365日の稼働で、タレットパンチプレス用金型の生産能力を従来の1.5倍にあたる月産3万本、一人当たりの生産高4倍を実現した。しかも常時工場にいる人員はたった3人で、顧客からの注文を受けて最短3時間で出荷できる。最新鋭の自動化工場を取材した。

T876に込めた意味

アマダ土岐事業所のT876工場

 岐阜県土岐市のアマダ土岐事業所は2011年に稼働。アマダの祖業といえる、金属を大きなのこぎりで切断するバンドソーマシンなどの切削加工機や研削盤を中心に生産していたが、今やレーザ加工機やベンディングマシンまで、生産する商品の範囲を広げた。

 17年10月に稼働した金型工場「T876工場」は、板状の金属を打ち抜いて加工するパンチング金型を構成する「パンチ」「ダイ」「ガイド」の各部品を生産する。「T」は土岐(TOKI)と金型(Tool)を意味し、「876」は1日24時間×365日(=8760)、年間8760時間止まらない工場を目指す意味を込めた。

 T876工場を設立した背景には、顧客のニーズと市場環境の変化がある。①消耗品である金型の24時間、365日の発注と翌日納入のニーズ②金型の長寿命化と高機能、高品質ニーズの高まり③モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、デジタル技術の発展④人手不足や働き方改革への対応など労働環境の急激な変化――の4つだ。

「現時点で考えられる最先端のIoT自動化工場」と語る山川雄一アマダツールプレシジョン社長

 従来の計画生産では当日受注への対応は難しく、多くの種類の製品を少しずつ作る変種変量生産では人の手作業が増える。さらにパンチング金型を製造していた旧伊勢原工場の生産設備の老朽化など、アマダが抱えていた課題も合わせて解決するため、T876工場は「自動化」と「IoT技術」を取り入れた最新工場にする必要があった。

 アマダツールプレシジョン(神奈川県伊勢原市)の山川雄一社長は「世界で3万台以上のアマダ製パンチングマシンが稼働している。顧客のマシンを円滑に稼働させるため、短納期で高品質な金型を安定供給する体制を整えた。受注してから最短で3時間で出荷でき、午後3時半までの受注は当日出荷に対応する」と語る。

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