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2019.08.28

複数のセンサーをカメラ1台に置き換える! 協働ロボのシステム構成を簡単に/キヤノン、ユニバーサルロボット(1/3)

光学機器と協働ロボットの世界的メーカー2社が連携する。光学機器メーカーのキヤノンと協働ロボットメーカー、ユニバーサルロボット(UR)の日本支社(東京都港区、山根剛ゼネラルマネージャー<GM>)は8月27日、都内のキヤノン本社で共同会見を開き、UR製ロボット向けに特化したキヤノンの新製品を発表した。従来とは異なる発想で、ロボットシステムの構成やロボットに動作を教えるティーチング作業をより簡単にする。

キヤノンの製品をUR+に認定

キヤノン、イメージソリューション事業本部の枝窪弘雄副事業本部長

 キヤノンは今年の10月上旬、画像処理ソフトウエア「Vision Edition-U(ビジョンエディション-U)」を、日本国内向けに発売する。同ソフトは、2018年3月に同社が発売した「ビジョンエディション」をUR製ロボット専用にしたもの。キヤノンは長年培った画像認識技術を生かし、ファクトリーオートメーション(FA)事業を強化している。ビジョンエディションは、そのベースとなる画像処理ソフトだ。

ユニバーサルロボットの山根剛GM

 デンマークに本社を置くURは、同社のロボットに組み込みやすい製品としてビジョンエディション-Uを「ユニバーサル・ロボット・プラス(UR+)」に認定した。URは、自社製ロボットの機能を高めたり、拡張する製品をUR+として認定している。現在はロボットハンドなどのエンドエフェクターや各種センサー、関連ソフトなど、190以上の製品が認証を取得する。UR+の認定には、UR製ロボット本体と周辺機器を接続するインターフェースの仕様や、プログラム言語をURの規定に合わせる必要がある。そのため、UR+の認定製品は一般のものに比べ、簡単にUR製ロボットと組み合わせて使える。日本企業の製品がUR+に認定されたのはビジョンエディション-Uが初めて。

 UR日本支社の山根GMは「URの使命は、ロボット本体に特化し、より良い本体を作ること。そこにわれわれだけでなく、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)やユーザーが特色あるUR+の製品を付加して、より使いやすいロボットシステムにする。それが基本の考え方」という。

キヤノンは今後、FAに注力

ビジョンエディションでカメラを操作して工場内を見渡す

 キヤノンは近年、ファクトリーオートメーション(FA)事業に注力する。これまで培ってきた光学、撮像、画像処理などの技術を生産現場に生かす。イメージソリューション事業本部の枝窪弘雄副事業本部長は「わが社が培った技術があれば、カメラ1台でまるで『鳥の目』のように見渡しながら、細部を把握することもできる。工場にカメラを置くだけで、得たい情報を収集できモノのインターネット(IoT)にも対応できる」と胸を張る。
 そのベースとなる画像処理ソフトが18年3月に発売した「ビジョンエディション」だ。

 ビジョンエディションは、ネットワーク上でつながったキヤノン製のカメラを操作でき、撮影した画像を処理する。天井などに取り付けたカメラは、さまざまな方向にレンズを向けることができ、高倍率のズームやピントと光量の自動調節機能を備える。イメージとしては街中の防犯カメラに近く、その高性能版といったもの。そのカメラで撮影した画像から幅広い情報を取得する。
 例えば、工場内でシリアルナンバーなどの文字情報やバーコード、QRコードを読み取れる。産業機械に付属する、針の動きで数値などを示すアナログメーターや、稼働状況を示すシグナルタワーの色、操作画面の状況などを認識し、機械の挙動検知ができる。また、ある特定の範囲における対象物の有無や特定のロゴも認識できる。バーコードなどを見つけると、自動でカメラの向きを変えてズームしたり、ピントを調整する。
 ビジョンエディション-UではこのビジョンエディションをUR製ロボット向けに特化させた。

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