複数のセンサーをカメラ1台に置き換える! 協働ロボのシステム構成を簡単に/キヤノン、ユニバーサルロボット(1/3)
キヤノンの製品をUR+に認定
デンマークに本社を置くURは、同社のロボットに組み込みやすい製品としてビジョンエディション-Uを「ユニバーサル・ロボット・プラス(UR+)」に認定した。URは、自社製ロボットの機能を高めたり、拡張する製品をUR+として認定している。現在はロボットハンドなどのエンドエフェクターや各種センサー、関連ソフトなど、190以上の製品が認証を取得する。UR+の認定には、UR製ロボット本体と周辺機器を接続するインターフェースの仕様や、プログラム言語をURの規定に合わせる必要がある。そのため、UR+の認定製品は一般のものに比べ、簡単にUR製ロボットと組み合わせて使える。日本企業の製品がUR+に認定されたのはビジョンエディション-Uが初めて。
UR日本支社の山根GMは「URの使命は、ロボット本体に特化し、より良い本体を作ること。そこにわれわれだけでなく、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)やユーザーが特色あるUR+の製品を付加して、より使いやすいロボットシステムにする。それが基本の考え方」という。
キヤノンは今後、FAに注力
キヤノンは近年、ファクトリーオートメーション(FA)事業に注力する。これまで培ってきた光学、撮像、画像処理などの技術を生産現場に生かす。イメージソリューション事業本部の枝窪弘雄副事業本部長は「わが社が培った技術があれば、カメラ1台でまるで『鳥の目』のように見渡しながら、細部を把握することもできる。工場にカメラを置くだけで、得たい情報を収集できモノのインターネット(IoT)にも対応できる」と胸を張る。
そのベースとなる画像処理ソフトが18年3月に発売した「ビジョンエディション」だ。
ビジョンエディションは、ネットワーク上でつながったキヤノン製のカメラを操作でき、撮影した画像を処理する。天井などに取り付けたカメラは、さまざまな方向にレンズを向けることができ、高倍率のズームやピントと光量の自動調節機能を備える。イメージとしては街中の防犯カメラに近く、その高性能版といったもの。そのカメラで撮影した画像から幅広い情報を取得する。
例えば、工場内でシリアルナンバーなどの文字情報やバーコード、QRコードを読み取れる。産業機械に付属する、針の動きで数値などを示すアナログメーターや、稼働状況を示すシグナルタワーの色、操作画面の状況などを認識し、機械の挙動検知ができる。また、ある特定の範囲における対象物の有無や特定のロゴも認識できる。バーコードなどを見つけると、自動でカメラの向きを変えてズームしたり、ピントを調整する。
ビジョンエディション-UではこのビジョンエディションをUR製ロボット向けに特化させた。