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2019.04.12

インタビュー

バイスメーカーが提案する多品種少量生産の自動化とは【前編】/酒井正一ナベヤ常務

加工素材を工作機械に固定するバイスなどを製造販売するナベヤ(岐阜市若杉町、岡本知彦社長)は、2016年からシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)と連携して加工の自動化提案に力を入れる。「バイスで加工を自動化」と言ってもイメージが湧きにくいが、ナベヤはどのように自動化システムの導入を促しているのか。答えはバイスやロボットを単体ではなく、パッケージにして提案することだった。ナベヤの酒井正一常務は「多品種少量生産をする中小企業で、ロボットを使用した無人加工をするには、これまでのバイスの使い方を変える必要がある」と訴える。

周辺機器が自動化にどう役立つか

「どうすればバイスで自動化に貢献できるかを考えた」と酒井正一常務

――ロボットを使用した自動化システムを提案しています。
 加工する素材をつかむバイスを自動で交換できるシステムです。16年からスタートしており、当社単体ではなくSIerや工作機械メーカー、ロボットメーカーと連携しています。

――無人化や省人化のニーズが高まっていますからね。
 始めた当初はそこまで感じませんでしたが、特に昨年から人材不足や働き方改革などでその傾向が強くなっていると感じます。しかし中小企業では「どのようなことができるのか分からない」というのが現状です。わが社は大手から中小まで幅広い企業が顧客なので、どんな規模の企業でも使えるような切り口を考える必要がありました。

――「バイス」と「自動化技術」はイメージがつながりにくいです。
 ナベヤとして具体的にどのようなことをすれば自動化に貢献できるのか、最初は分かりませんでした。バイスの役割は、素材をしっかりとつかみ、機械に取り付けることでずれのない高精度な加工をサポートすることです。バイスを単体を顧客にそのまま届けても、自動化を進めるヒントにはなりにくいでしょう。かといって、自分たちで自動化システムを作るのも難しい。そこで、ロボットメーカーに、ロボットシステムを構築するSIerを紹介してもらいました。

ロボット搬送対応システム(ナベヤ提供)

――ロボットとバイスをどう自動化につなげたのですか?
 自社製品を使った自動化システムのパッケージを作り、その構築を担うSIerまで含めてまとめて提案できるようにしました。右の動画のように、加工素材を設置したバイスごと機械に着脱するシステムです。普通はバイスを機械に固定し、加工素材だけを付け替えますが、それだと加工素材の形状が変わればロボットハンドの調整や交換作業が必要で、時間やコスト、労力がかかります。中小企業ではいろいろな部品を加工する多品種少量生産がほとんどです。そこで使用するバイスを共通にし、ロボットハンドをバイスに対応させました。加工素材の形状が変わってもハンドの調整や交換作業は必要ありません。

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