2021.01.07
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AI活用の協働ロボットシステムで市場参入/京セラ

社内資源をフル活用

CEATEC 2020 ONLINEで参考出展したシステム

 同社のロボット市場への参入には、2つの狙いがある。  1つは、谷本秀夫社長が掲げる生産性倍増計画の実現。同社工場の大量生産の工程では自動化が進み高い生産性を実現しているが、多品種少量生産の領域では自動化が難しく、まだ人に頼る工程が多い。AIとロボットを活用してその課題解決を図り、同時にそのシステムを製品化する。  もう1つは、新規事業として成長産業に参入すること。  社内やグループの技術、ノウハウを組み合わせ、シナジー効果を生み出すことが新規事業を立ち上げる時の鍵だ。同社のロボット事業の立ち上げには、グループ企業の京セラドキュメントソリューションズ(大阪市中央区、伊奈憲彦社長)のコントローラーや制御の技術、京セラコミュニケーションシステム(KCCS、京都市伏見区、黒瀬善仁社長)のクラウド技術、KCCS傘下のRist(リスト、東京都目黒区、藤田亮社長)が開発するAIなど、幅広く技術を結集した。

データ蓄積し中堅・中小企業も導入しやすく

コーポレートサイト内に設置されたロボット事業の特設サイト

 AI協働ロボット・システムは21年4月に試験販売を開始し、22年4月に正式発売する予定だ。  現在は試験販売に向け、同社の部品工場で運用しながらデータの蓄積を続けている。試験販売では、顧客の現場でもデータを収集してAIの多様性を深める。同社の部品工場に似た工程を持つ協力先を探している。  「ただし、部品工場で無尽蔵にデータが取れる訳ではない。限られたデータで、どれだけ正確な物体認識や経路生成ができるかがAIの課題」と森田事業部長は話す。  協働ロボットは今後、食品や医薬品、化粧品、サービス業などにも導入が進むと見られる。森田事業部長は「導入を拡大するには、今までの協働ロボットの使いやすさではまだ不足。もっと簡単にティーチングできなければ、中堅、中小企業への導入は進まない。ロボット市場に参入するからには、AIを活用して使いやすくし、普及に貢献したい。それに挑戦し実現することが、わが社が参入する意味だと思う」と力強く語る。

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

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