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2023.05.29

連載

[活躍するロボジョvol.21] 技術力買われロボ開発部門へ/パナソニック アドバンストテクノロジー 後藤彩さん

ロボット業界で活躍する女性にスポットを当てた連載「活躍するロボジョ」。第21回は、パナソニック アドバンストテクノロジー(大阪府門真市、水野勇介社長)の後藤彩さんを紹介する。大学では数式シミュレーションについて研究した根っからの理系で、プログラム作成やソフト開発が得意。「ソフト系の研究をしていたので、実物を伴う製造業で働きたかった」と話す。「ロボット開発部門に来たのは2年前。プログラム通りに動くため結果が分かりやすいのがいいですね」と後藤さん。「まずはロボットアーム開発の知見を深め、その先のキャリアに生かしたい」と言う。

ソフト開発ならおまかせ

 大手電機メーカーのパナソニック。たくさんあるグループ会社のうちパナソニック アドバンストテクノロジーは、グループ会社内外の製品に搭載する先進的なソフトウエアの開発を担っている。研究開発部門イノベーション基盤開発室の第二課は、特にビジョンシステムと連動したさまざまなマニピュレーションシステムのソフト開発を担当する部署だ。

 後藤彩さんは、プログラミングやソフト開発に関する知見を買われ、2021年に第二課に配属された。後藤さんが担当するのは、例えばティーチングシステムの組み込みソフトから、ビジョンシステムのリアルタイム画像処理と補正、エンドエフェクターの軌跡に応じて各関節をどう動かすかを決定付けるプログラムなど、非常に幅広い。後藤さんの上司にあたる高橋三郎イノベーション基盤開発室室長兼第二課課長は「今後のロボットに重要となるビジョン関連の先進的な技術を持っている。第二課の貴重な戦力として活躍してくれている」と評価する。

入社から開発一筋

「ロボットの勉強がはかどったのは、第二課の先輩たちに教えてもらえたおかげ」と言う

 後藤さんのプログラミング技術の原点は、大学時代に学んだ情報科学にある。数式をシミュレーションする過程でプログラムを記述する経験を重ねてきた。「ソフト系の研究ばかりしていたので、実際にものづくりをするメーカーで働きたかった」と話す。

 入社後は住宅のインターホン内蔵カメラや車載カメラに搭載されるソフトウエアなどの開発に携わり、人物や物体を検知し画像認識技術で見分ける機能の開発の一端を担った。その後も画像認識技術をベースにしたソフトを中心に、入社以来13年間にわたり開発一筋で取り組んできた。

 第二課に配属されるまで「ロボットを見たり触ったりしたことはなかった」と言う後藤さん。「与えられた仕事をこなしながらロボットの勉強をしなければならないため、初めは大変でした。ただ、プログラムに基づいて動くロボットは勉強の成果が分かりやすく、モチベーションは高かった」と振り返る。

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