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2022.11.14

連載

[注目製品PickUp! vol.46]畳1枚のスペースでバリ取りを自動化/ファインテクノ「FDM-002」

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連製品を紹介する連載企画「注目製品PickUp!」。46回目は、ファインテクノ(愛知県豊田市、大羽達也社長)が今年11月10日に発売した小型バリ取りロボットセルの新製品「FDM-002」を紹介する。自社開発のエアフロートアタッチメントを搭載したロボットがワーク(加工対象物)の形状に倣って刃具を押し当て、従来は人手に依存していたバリ取りの作業を自動化する。設置スペースが畳1枚以下に収まるコンパクトさが特徴で、工場が手狭な中小企業でも導入しやすい。

ニーズに合ったシステムをグループ一体で

 バリとは加工した部品の縁などにできる不要な突起物で、従来は人が手作業で除去していた。
 ファインテクノはこうしたバリ取りの作業を自動化する各種システムを設計、製造するメーカー。多関節ロボットを駆使した搬送システムの製作を担うROBOSYSTEM(ロボシステム、愛知県豊田市、赤堀太一社長)や、システムに組み込む部品を内製する製造会社の司工機(愛知県豊田市、清水啓樹社長)とも連携し、顧客のニーズに合ったバリ取り自動化システムをグループ一体で提供できる。

 従来はバリ取り専用機を一品一様で製作してきたが、最近はバリ取りに必要な要素技術を一つにまとめたパッケージ製品の開発にも注力する。その一環で、2020年11月には小型バリ取りロボットセル「FDM-001」を市場投入。それに続く第二弾として、今回紹介する新製品「FDM-002」を今年11月10日に発売した。

 FDM-002にはファナックの7kg可搬の「LR Mate(メイト) 200iD」を採用、ワークを載せるテーブルの寸法は縦横300mmだ。2種類の刃具を自動で交換する装置をはじめ、切削油をワークに自動で塗布するオイルポッドや刃具洗浄ユニットなどもオプションで搭載できる。
 FDM-001も基本的な仕様は同じだが、FDM-002の最大の違いは設置面積にある。後者は機械幅が800mm、奥行きが1481mm、高さ1600mmと畳1枚以下に収まるコンパクトさが特徴だ。FDM-001では2つのテーブルが加工エリアと作業エリアの間を回転する「ターンテーブル方式」が採用されているが、FDM-002はテーブルを1つに絞ったことで設置面積を4割近く削減した。大羽社長は「『加工設備の間の狭いスペースに導入したい』といった要望に応えるため、FDM-001からさらに省スペース化を図った。工場が比較的狭い中小企業でも導入しやすい」と語る。

  • 2020年11月に発売した「FDM-001」

  • 畳1枚以下に収まるコンパクトさが特徴の「FDM-002」

他のSIerも購入するコア技術

非常に軽い力で刃具を動かせるコア技術のAF型

 FDM-001とFDM-002に共通するコア技術は、自社開発のエアフロートアタッチメント「AF型」だ。AF型とは、バリ取り用の刃具をつかんで伸縮したり、刃具を前後左右に傾けたりできる独自の「エアフロート機構」を備えたユニットで、ロボットアームに取り付けて使用する。AF型の先端に装着したバリ取り用の刃具を、空気圧を使ってワークの形状に倣って押し当てることでバリ取りを自動化する仕組みだ。

 ロボットはプログラム通りにしか動かないため、ワークの形状にばらつきがあると刃具がワークに当たらず、バリを十分に取り切れない。これに対し、AF型にはエアフロート機構があるため、ワークの形状のばらつきを吸収しながらバリを除去できる。大槻浩司取締役開発部長は「特許の関係で詳細は明かせないが、AF型のエアフロート機構は競合他社と比較して非常に軽い力で刃具を動かせる。ワークを削らず、バリだけがうまく取れるよう工夫を重ねた」と説明する。
 また、ワークの材質に合わせて空気圧をコントロールすれば、刃具を押し当てる力を自在に調整できるのも大きな特徴だ。

 「AF型はバリ取りをロボットで自動化する上で最も重要な要素であり、わが社の一番の強み。製品単体でも販売しており、バリ取り用のロボットシステムを製作するのにAF型を購入するシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)も多い」と大羽社長は胸を張る。

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