[2023国際ロボット展リポートvol.23]実用性高まるヒト型ロボット/カワダロボティクス、アールティ、TechShare
ヒト型ロボットは大きな注目を集めている分野の一つだ。産業用ロボットとして提案するメーカーは多岐にわたるアプリケーションを披露し、実用性の高さをアピールする。一方、ヒト型ロボットを研究用途に提案する企業もあり、価格競争力の高さなどを武器に攻勢をかける。vol.23ではヒト型ロボットの各社の展示を紹介する。
繊細な作業を難なくこなす/カワダロボティクス
カワダロボティクス(東京都台東区、川田忠裕社長)は、ヒト型ロボットを産業用途に提案する。ブースにはヒト型協働ロボット「NEXTAGE Fillie(ネクステージフィリー)」などネクステージシリーズを利用したデモシステムを8台並べだ。
担う作業はチューブ製品の箱詰め、ラベルの傷チェック、粉体の計量など多岐にわたる。粉体計量では瓶の中の粉をスプーンですくい、他の瓶へ移し替える作業を規定量通りに正確に行う。いずれも精度の高さが売りだ。
藤井洋之事業企画室長は「ネクステージフィリーは多様な作業に利用できる。今後もパートナー企業と連携して新しい魅力を探っていきたい」と語る。
ヒト型ロボに4本脚タイプも登場/アールティ
アールティ(東京都千代田区、中川友希子社長)は、食品の盛り付けライン向けの「Foodly(フードリー)」など3種類のヒト型協働ロボットを展示した。
今回初披露したのが、倉庫での軽作業向けのヒト型協働ロボット「Bonobo(ボノボ)」の4本脚タイプだ。直立する2本脚タイプは2021年に発売した。倉庫作業では足踏み式のスイッチを踏む機会が多く、2本脚ではバランスを取りにくい場面もあるため、今回4本脚タイプを開発した。
中川社長は「特に海外では、軽作業の自動化でヒト型ロボットへの関心が高い。最終的には実用途まで使われればと思うが、まずは2本脚ロボットの行動や制御面の研究開発で、ボノボの引き合いが増えている」と話す。
研究用途に高コスパの中国製ヒト型ロボット/TechShare
輸入ロボットの販売などを手掛けるTechShare(テックシェア、東京都江東区、重光貴明社長)は、中国Unitree Robotics(ユニツリー・ロボティクス)の二足歩行ロボット「H1」などを展示した。
H1はロボットの歩行や認知機能の研究開発用で、複雑な地形や環境でも自律的に歩行や走行が可能。身長は約180cm、体重は約47kg。会場では、価格が1580万円からというコストパフォーマンスの高さや、2次開発のしやすさなどをアピールした。また、同じくユニツリーの四足歩行ロボットなども展示した。
その他、中国DOBOT(ドゥーボット)製の4軸のデスクトップ型アームロボット「MG400」を展示し、コストパフォーマンスが高く、導入しやすい点を訴求した。DOBOT製の6軸協働ロボットや研究開発用6軸小型ロボットアームなども併せて披露し、注目を集めた。
(芳賀崇、西塚将喜、斉藤安紀)

