エプソンはさまざまなソリューションで生産現場の難題解決を共に目指すVol.4
ビジョンを共有できるパートナー/コネクテッドロボティクス
コネクテッドロボティクスはDelibotTMの開発で中心的な役割を果たす企業のひとつ。食品産業に特化したロボットシステムを開発し、毎年売上高を倍増させている注目のベンチャー企業だ。沢登哲也代表取締役/ファウンダーは「プロジェクトを推進するにはビジョンを共有できるパートナーが重要」と話す。
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――「Delibot」の新バージョンが3月に発表されました。その特徴などを教えてください
初期モデルを運用実証する中で見えてきた課題は主に、設置スペース、盛り付け量のバラつきなどの作業精度、多品種対応の3点です。精度の高い作業や多品種への対応は現状でもある程度できてはいますが、常により良いものを目指して今後も研究開発を続けます。
――設置スペースについては?
エプソンのコントローラー一体型のスカラロボット「惣菜製造ロボットT3-B改」を採用するなど、省スペース化を図り、新たにDelibotの「省スペース型」モデルを開発しました。省スペース型では、従来はロボットシステムに一体化していた容器の供給装置を分けて集約したことで、設置面積の大幅な削減を実現しました。必要な面積は初期型の4分の1で、人の作業範囲の半分程度のスペースで設置できるため、狭い現場でもより導入しやすくなったと思います。トレー供給装置をロボットセルに組み込んだ方が都合が良いケースもあるため、現場に合わせて「トレー供給一体型」と「省スペース型」を選択できます。
――Delibotの開発で苦労した点は?
昨年の初期モデルの開発時の話ですが、先端に取り付けるエンドエフェクターの開発には苦労しました。ポテトサラダのような粘着性のある惣菜を定量で盛り付けられるようになるまで、表面の素材や形状、開閉の動作などを細かく見直して調整しました。
――他にはありますか?
工場で盛り付け前のポテトサラダなどを入れておく容器には深さがあります。最初は浅いところからすくいますが、中身が少なくなると深いところからすくわなければなりません。スカラロボットのアーム先端の上下駆動軸は「Z軸」と呼ばれますが、普通のスカラロボットではこのZ軸のストロークが足りませんでした。
――どうやって解決しましたか?
エプソンに相談すると、Z軸が特別長いロボットを開発してくれました。ボールねじのグリスなども食品工場に適したものにすぐに変更してくれ、大企業とは思えないフットワークの軽さに驚きました。
――エプソンが食品産業に力を入れていることが分かりますね。
パートナーとして協業する上では、そういった部分が合致することが非常に大切だと感じています。性能やコンパクトさ、リーズナブルな価格などももちろん魅力ではありますが、カスタマイズや機能追加、仕様変更に迅速に対応してくれるかどうかも重要です。それらは、その分野にどの程度注力しているのか、パートナーとビジョンをどこまで共有できているのかに左右されます。エプソンとは食品産業のロボット化に向けて意気投合しており、ビジョンを共有できているため、今後も連携して展開できればと考えています。
エプソンはさまざまなソリューションで生産現場の難題解決を共に目指す
Vol.1 ~製造向けソリューション~
Vol.2 ~力覚センサーソリューション~
Vol.3 ~分光ビジョンシステム~
Vol.4 ~食品産業向けソリューション~