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2023.05.30
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[ロボットが活躍する現場vol.27]ロボット化して事業立て直し/ニッキフロン

歩留まりが劇的に改善

「将来的には1億円規模の売り上げに伸ばしたい」と話す春日孝之社長

 フッ素樹脂製ダイヤフラムは、特定の顧客層から供給継続を強く望まれていた製品だ。継続が危ぶまれたのは、あまりに歩留まりが悪かったのが理由。職人の技術でも50%台がやっとの状態だった。設備の老朽化も進んでいたが、年間の売り上げが1000万円前後と小規模なため、設備更新や自動化のコストに見合わないと考えられていた。  微細な異物や傷も嫌う厳しい品質の要求を満たすには、金型の温度やプレスの時間など全ての加工条件を最適にコントロールすることが求められるが、手作業と簡易なクリーンルームでは品質を安定させられず、歩留まりの改善が難しかった。「ロボット化にあたり、職人のノウハウとロボットの高精度な再現性を組み合わせ、歩留まり改善を図った」と言う春日社長。結果、50%台だった歩留まりは90%以上に大幅に改善した。「従来は年間で1000万円前後の売り上げだったが、これからフル稼働し生産能力が向上すれば、将来的には1億円ぐらいまで目指せるようになるだろう」と期待を寄せる。

自動化のモデルケースに

左からニッキフロンの林伸好技術部長、ユニテック・ジャパンの柳谷良行営業部次長、ニッキフロンの春日社長、HCIの奥山社長、浅野事業部長。クリーンルーム前で

 今回のロボットシステムは、イノベーション復旧により被災前を超えて事業の成長を狙うモデルケースとの位置付けもある。ロボットが活躍する現場を広く見てもらうことで、対外的に復旧をPRすることにもつながる。本格的な稼働を開始した2022年いっぱいは業界を問わず見学を受け入れてきた。今年に入ってからは改めて顧客層へのPRに力を入れているところだ。  同社は樹脂製品をプレスだけでなく射出成形や切削でも加工する。春日社長は「わが社が目指すのはスマートファクトリー。以前から樹脂製品をハンドリングするロボットは使ってきたが、今回導入したロボットは大きく高性能で、システムも複雑だ。ロボットや周辺装置の知見を生かし、自動化や省人化を推進したい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

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