大手ロボットメーカー幹部が未来を語る【後編】/RTJ2022「スペシャルセッション」
テーマ3「未来に向けたロードマップ」
――最後のお題です。「未来に向けたロードマップ」について、皆さんに考えてきていただきました。 小川昌寛氏 ロボットは自動化のツールです。ただ、とりわけ重要なツールであるとの認識もある程度広まっています。自動化は単なる省人化、省力化ではなく、サステナブルな社会を実現するためには非常に重要なソリューションの一つだと、本気で思っています。 自動化の過程で生まれるデータは、人の気付きを生みます。気付きが改善につながり、また戻ってくると、デジタルツインの考え方に帰着します。オペレーショナルテクノロジー(運用・制御技術、OT)とITは従来うまく融合できませんでしたが、自動化の領域では当たり前のことになるのです。 持続可能な開発目標(SDGs)の17個の目標のうち半分ぐらいは自動化で達成できるのではないかと思います。例えば、レストランの食べ残しの処理を人がやると単なる廃棄ですが、自動化すると廃棄の内容をデータ化でき、実はフードロスの低減につながります。これが、自動化することで省人化や省力化だけでない価値が生まれるモデルケースです。 稲葉清典氏 先人たちが歩んだ道を大事にしながら、新しい道を切り開いていく。製造業においても、尖った新しいものが生まれて育つような文化が必要だと思います。斬新なアイデアが生まれる土壌、それを発信できるような文化が求められています。 自動化からは程遠いイメージの伝統工芸の世界でも、人にしかできないできない部分は人が担い、部分的にロボットに任せる使い方が可能です。自動化というと大量生産や低価格、等品質といった印象が強いのですが、人にしか作れないものづくりを支援することにも焦点を当てたいですね。 自動化を実現するには、いろいろなパートナーと協力して取り組んでいかなければならないと思っています。