2026.07.30
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2600種類を効率的に生産、9工程をワンチャックで/東北日東工器

FMS、ロボットなど自動化を徹底

 おおざそう工場の稼働に当たり、旧メドテックと旧白河日東工器の工場から既存の設備を移設した他、最新鋭の25台の工作機械も新たに導入した。全部で127台の工作機械を設置する。

FMSで加工するアトラエースの鋳物部品

 工場内でひときわ目を引くのが、オークマの横形マシニングセンタ(MC)3台とダイフクのパレットラックで構成されるフレキシブル生産システム(FMS、上写真)だ。
 MCは「MB-5000HⅡ」で、独自の構造と制御で熱変位を抑える知能化技術「サーモフレンドリーコンセプト」で長時間安定した加工ができる。パレットラックは20列×3段で、段取りステーションを2基備える。
 現在はマグネット固定式の携帯型穴開け機「アトラエース」の鋳物のきょう体を加工しているが、ジグ(固定具)やプログラムを変更すればさまざまなワークの加工に対応できる。

ビルトイン型のロボットを搭載したオークマの複合加工機

 FMSのような大掛かりなシステムだけでなく、オークマ製の複合加工機にはビルトインロボット「ARMROID(アームロイド)」を搭載するなど、さまざまな方式で自動化を図る。

 東北日東工器はアトラエースに取り付けて使用する環状刃物「ジェットブローチ」も生産しており、その加工システム向けにロボットシステムも自社で構築した。複合加工機へのワークの付け替えだけでなく、ワークトレーの交換までできるシステムで、32時間の連続無人運転が可能だ。
 「もう少し時間を伸ばせれば金曜日の夜から月曜日の朝まで無人加工ができる。無人加工できる時間を伸ばして生産性を高めたい」と桑原社長は言う。

今後は組み立て自動化に焦点

大幅な工程集約を実現した空圧工具のバルブ部品

 工程集約もおおざそう工場の大きなテーマの一つだ。「5軸MCや複合加工機など工程集約型の機械を多数導入し、ワンチャックで加工することでできるだけ省人化を図っている」と桑原社長は言う。
 前述のアームロイド搭載の複合加工機や、ジェットブローチ向けの複合加工機でも工程集約を図っているが、工程集約で最も大きい成果を実現したのが空圧工具のバルブ部品の加工だ。

工程集約を可能にしたDMG森精機の複合加工機

 材料の切断、旋削2工程、ミーリング加工3工程、バリ取り、ブローチ加工、穴の仕上げ加工までのトータル9工程を丸棒からワンチャッキングで加工する。 
 使用するのはDMG森精機の複合加工機「NTX 2000」だ。工程集約でワーク交換の人手を省人化できるほか、加工時間も約10%短縮した。

 その他にも生産性を高めるための手段として、振動センサーで主軸ベアリングの摩耗を監視したり、工作機械を制御するGコードの修正に人工知能(AI)の一種である生成AIを使えないか試すなど、さまざまな実験をしている。

加工や組み立てなどの各工程だけでなく、工程間搬送も無人搬送車(AGV)で自動化した

 東北日東工器は今後の課題として「組み立て工程の自動化」を挙げる。おおざそう工場1階の部品加工はかなり自動化が進んでいるが、2階の組み立てはまだまだ人手に頼っている状況だ。
 電動ドライバーを例にとると、「人の手で握りやすい細さ」の中にさまざまな部品を納めなければならないため、内部配線が複雑になり、自動組み立てがしにくいという。

 日東工器グループはこうした課題に対し、「製造現場の見直しだけでは限界があり、製品設計から考え、変えていく必要がある」(日東工器千葉取締役)と話す。日東工器の開発統轄は現在、千葉取締役が務めており、日東工器の開発部門と東北日東工器の生産技術部門が連携を取りやすい体制だ。生産技術側の意見を開発部門にフィードバックするなどし、ユーザーが使いやすくかつ自動組み立てもしやすい製品の開発を進める。

 「おおざそう工場では、多品種少量生産を効率化するために自動化や省人化など現状でできる限りのことをしたからこそ、そこから先の課題もさまざま見えてきた。今後も常に、新たな課題の解決に挑戦していきたい」と桑原社長は語る。

<次ページは桑原徹也社長のショートインタビュー>

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