2025.04.11
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ヒト型ロボットが自動化の空白を埋める/アプトロニック、ボストンダイナミクス

「5万ドル」境に普及へ

ルイス・センティス博士が3Dエクスペリエンスワールド2025の会期中にインタビューに応じた

 センティス博士は、「ヒト型ロボットの開発や量産には、耐久性や安全性などを確認するために膨大なテストが必要だが、実際にテストを完璧に実施するには時間がかかりすぎる。ソリッドワークスのシミュレーション機能を活用することでテストの一部を補い、開発のサイクルを短縮できた」と話した。  普及の足かせとなるのがコストだ。「モルガンスタンレー証券の分析によると、ヒト型ロボットの部品コストは1体5万~6万ドル程度まで下がっている。そして、5万ドルを切るとROI(投資利益率)がプラスに転じると私は考えている。価格への反映も進み、顧客にとりヒト型ロボットの導入が現実的な選択肢になる」とセンティス博士は語る。

ヒト型ロボットの核は「知能」

3Dエクスペリエンスワールド2025でスポットの実機を披露

 ボストンダイナミクスの創業者のマーク・レイバート氏は「スポットの用途は産業向けにも広がっている。建設現場や石油掘削施設、精錬所、原子力施設などで、搭載カメラやセンサーを使った検査や調査、3次元マッピングに、約2000台が使われている」と明かす。アトラスは運動能力が高く、ラボの一画を自動車の組み立て工場に見立てたテストで、部品をラックにセットする様子が映像で紹介された。「ロボットの開発には、動きを決定するソフトウエアや人工知能だけでなく、実行する性能を持つハードウエアが不可欠だ。設計や解析にはソリッドワークスなどダッソー・システムズのソフト群を活用している」とレイバート氏。

 「ヒト型ロボットとは」との問いに対し、レイバート氏は「『2本の手足と頭がある』と定義するのは愚かだと思う。いろいろな形があっていい。ヒト型ロボットをヒト型ロボットたらしめるのは『知能』だ。環境を理解し、コミュニケーション可能であるということ」と語る。「運動能力を司る知能と、認知能力を司る知能の2つが融合することで進歩していく。人間がOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=職場内訓練)で学ぶように『見て、理解し、実行する』というプロセスを実現し、人類の課題を解決するようなロボットを開発したい」と語った。

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

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