中小のロボ導入の不安をなくす、支援サービスにミスミが本腰
人手不足進む中小、提案しにくいSIer
ミスミグループは標準的な機械部品の通信販売や、特注の機械部品を調達できる人工知能(AI)を活用したプラットフォーム「meviy(メビー)」 など、国内の製造業の活性化に向けたサービスを展開してきた。
国内の製造業を見渡すと、特に中小企業で人手不足が深刻になっており、自動化ニーズが高まっている。
しかし、中小企業は、産業用ロボットの導入経験が少なく、コスト感や専門知識の不足、適切なSIerを見つけて依頼するのが難しいなどの課題を抱えている。
その状況から、ミスミには国内の製造業全体が衰退するとの危機感があった。
一方、システムを構築するSIerから見ると、新規の引き合いは失注の確率が高い。また、専門知識が少ない依頼主からの引き合いは過度な期待を寄せられやすいなど、前提知識のギャップが大きいほど積極的にはなれない事情がある。
さらに、営業担当者の少ないSIerも多い。結果的に、中小企業への提案や顧客開拓が難しくなっていた。
ミスミは、それらのギャップを解消するサービスとして、ミボットを始めた。
SIerにもメリット多数
SIer側にもメリットが多数ある。
まず、新規の営業活動の手間を減らせる。さらに、カウンセリングをして具体的なイメージを持った顧客をミスミから紹介されるため、失注のリスクや手戻りの手間が少ない。
また、SIerは得意分野のパッケージシステムを取りそろえるケースが多い。設計やシステム構築からアフターサービスまで知見があり、手慣れている作業を繰り返すことで、コストを抑えながら迅速に対応できる。
ミスミは製造業に関わる間接的な業務に潜む非効率さを、自動化やデジタル活用により短縮し、価値ある時間を創出する「#時間戦略」をテーマに掲げている。
ミボットも、利用者とSIerの双方向にとり、余分な打ち合わせや手間を減すサービスになっている。
今後はさまざまな業種や工程に対応するため、掲載するパッケージシステムの種類をさらに増やしていく。今年度中に60種類の掲載を目指す。そのためには、SIerとの連携強化が不可欠だ。
また、本格化に合わせて、広報活動を強化し、サービスの認知度向上を図る。また、標準部品の販売やメビーなどのサービスを通じて、国内だけでも約11万社 と取引関係にあり、それら顧客のネットワークも生かしていく。
事業責任者は「ミボットで導入に不慣れな利用者の不安も、SIerの手間も一挙に解消したい。『自動化相談ならミスミ』との認知を広げたい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)