[国際物流総合展2024 vol.5]ロボットに何をさせるか?/ファナック、川崎重工業、ヤマハ発動機、ユーシン精機ほか
デバンニング提案が盛ん
先述した中西金属工業以外にも、デバンニングシステムを提案する企業が目立った。
中国に本社を置くXYZ Robotics(XYZロボティクス、日本法人=東京都港区、蘇詠善社長)は、トラックローディング、アンローディングロボット「RockyOne(ロッキーワン)」などを実演した。
営業部の小池太部長は「今年4月から5月にかけて実際の倉庫で運用評価をしたが、その時をバージョン1とするなら今はバージョン13にまでアップデートした。吸着パッドの制御やロボットの処理速度などさらに性能が向上した」と語る。
メイキコウ(愛知県豊明市、保賀誠一郎社長)は「全自動荷降ろし装置 オートマチックデバンダ」を初披露した。クローラー(無限軌道)式のAGVにロボットを搭載し、コンテナに入り込む。ロボットアーム先端のビジョンシステムで箱の位置を認識して、吸着式のロボットハンドで把持する。
コンベヤーの使い方が特徴的だ。取りに行く箱の高さに合わせて、コンベヤーの高さも追従させる。そうすることで、ロボットが段ボール箱を把持する時間を短くして、全体の処理速度を高めた。担当者は「元々、コンベヤーの扱いが得意。コンテナから排出した後の搬送も含めて、総合的に提案できる」と胸を張る。
センサーで高度な自動化を
中国のビジョンシステムメーカー、Mech-Mind(メックマインド)ロボティクスの日本法人、Mech-Mind(東京都港区、楊培社長)は、ビジョンセンサーの性能強化をアピールした。会場では半透明な樹脂製コンテナの位置を認識して、パレタイズやデパレタイズを繰り返すデモを披露した。
スイスの計量器や分析機器のメーカーMETTLER TOLEDO(メトラー・トレド、日本法人=東京都台東区、フランク・マータース社長)は、今回が初出展。パレット上の対象物の寸法を自動で測定する装置「TLD870」などを展示した。TLD870は対象の上部から検知する測定装置で、検知範囲内に置いたパレットに積載された対象物の幅と奥行き、高さを自動で測る。
産業機器事業部の阪井克来ビジネスディベロップメントマネジャーは「積み荷の測定を人手でする物流現場がほとんどで、時間のかかる作業。TLD870なら人手もかからず、対象物一つ当たり2~3秒と高速でスキャンできる」と利点を話す。
多彩な荷物をどうつかむ?
ロボットハンドメーカーも出展し、ドイツに本社を置く真空機器メーカー、シュマルツ(日本法人=横浜市都筑区、小野雅史社長)は、3Dプリンターで製造するオーダーメイドの吸着パッド「FQE-V」を参考出展した。
会場では楕円(だえん)や丁字の吸着パッドを展示した。既定の寸法内であれば、任意の形で注文できる。用途に応じて、吸着パッドの素材も選べる。担当者は「カスタマイズ性の高いこの製品は、日本法人でコンセプトを設計し、製品化したもの。顧客の反応が楽しみ」と話す。
ブリヂストンの社内ベンチャーであるブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズは「TETOTE and(テトテアンド)」を初披露した。同社の開発したゴム人工筋肉を利用したソフトロボットハンドの新製品だ。
従来の同ハンド「TETOTE(テトテ)」では、わずかな隙間で敷き詰められた箱などの把持が難しかった。人工筋肉の太さにより、隙間に把持部を差し込みにくいためだ。
そこでテトテアンドを開発した。同製品はテトテ同様に4本指を持つが、その中心部に吸着パッドも搭載した。まず、吸着パッドで簡易的に固定して持ち上げた後に4本指で把持する。2025年にリリースする予定。山口真広主幹は「来場者の反応が良かった。物流業はもちろん、製造業などからも引き合いがあった」と明かす。
――「国際物流総合展2024」終わり
(芳賀 崇、西塚将喜、水野敦志、斉藤安紀)
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