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2024.09.25
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[SIerを訪ねてvol.49]何も分からない状態から積み重ねた経験/カトウ

AI搭載のロボットに期待

自社工場では2台のロボットを使い溶接工程も自動化した

 加藤社長はロボットを扱う中で、ティーチング(教示作業)や条件設定にかかる手間が課題と感じるようになったという。「慣れればそこまで難しくはないが、確認事項が多く時間もかかる」と加藤社長は言う。  そのため、例えば溶接で新規の受注があった際、少量ならロボットにティーチングをするよりも人手で溶接した方が早く済むことから、ロボットを使わないケースもある。「さらに言うと、ロボットが設定した動作を繰り返すだけでなく、環境を認識して自律的に動いてくれれば理想的」と強調する。

「AI搭載ロボットなどが今後の製造業には必要」と語る加藤欣吾社長

 そうしたロボットはないか探すと、ドイツに本社を置くNEURA ROBOTICS(ニウラロボティクス)を見つけた。ニウラロボティクスは人工知能(AI)搭載の協働ロボット「MAiRA(マイラ)」などを開発する。ティーチングが不要で、例えばワークの搬送を自動化する際は、AIが経路などを自動で設定して運ぶ。  加藤社長は「センサーやカメラも標準搭載するため、作業環境を自動で認識して柔軟に動作を制御する。音声認識機能などもあり、専門的な知識がなくても簡単に扱える」と語る。  ニウラロボティクスの正規代理店の日栄機工(愛知県豊田市、川元敦史社長)と連絡を取り、実機が稼働する様子を見せてもらいその性能を確かめた。「これまでロボットに抱いていたイメージが変わった」と加藤社長。人手不足などが課題の製造業には今後このような技術が必須になると感じ、同社もニウラロボティクスの代理店となることを決めた。「マイラなどニウラロボティクス製品を自社工場にも導入予定で、最適な用途を探りたい」と話す。自社の自動化に役立てながら、ロボットの導入に興味のある企業へデモ機としても披露する予定だ。  またロボットに興味のある企業を集め、さらなる自動化を推進するNPO法人の設立も計画する。加藤社長は「製造業に限らず業界横断的な団体にし、広く協力体制を構築したい。異業種の取り組みや考え方が良い刺激となり、製造業のさらなる発展にもつながれば」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)

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