[ショールーム探訪vol.27]コンパクトな機器が広いエリアに立ち並ぶ/ROMS「平和島ラボ」
始まりは無人店舗開発から
同社は2019年6月にポーランド人のメンバーと共に創業した。ROMSは「ロボティクス・オムニ・ソリューションズ」の略だ。 同社はコンビニエンスストアの無人店舗の開発からスタートした。当時は約30㎡程度の店舗で500 種類ほどの物品を扱うコンビニエンスストアのような小型の無人店舗RCSを開発した。この製品が現在のナノ・ストアにもつながっているという。そしてこの技術を他にも応用できないかと、顧客の要望を聞き、開発したのが小型自動倉庫だった。 平和島ラボを訪れた顧客の要望から生まれたのが、今年4月に発表した拡張できる最新の小型自動倉庫システム「Nano-Stream(ナノ・ストリーム)」だ。ナノ・ストリームはコンベヤーの代わりにAGVを利用して荷物を搬送するシステムで、12月にユーザーへの納入が決まっている。 特徴の一つが、繫閑の波に柔軟に対応できること。平常時の出荷数量に合わせて導入したシステムであっても、荷量が増える繁忙期には着脱可能なクレーンや入出庫ステーションをレンタルで増設し、合わせてAGVの台数や走行レーン数を増やせば、ボリュームの変化に対応できる。繁忙期が終われば返却すればよく、費用面でもメリットが大きい。 一時的なボリュームの増減だけでなく、事業の成長に合わせて保管量や能力を拡張できる点も魅力だ。前野洋介社長は「最初から大きい設備を入れるのではなく、小さく始めて事業の成長に合わせて増設していくべきだ」と語る。 平和島ラボは開設当初から顧客の興味を引き、毎日2~3組の訪問がある。そんな中、利用者からよく聞かれるのが「大人数で行っても大丈夫ですか」という質問だ。ショールームには十分な広さがあるため20人~30人で訪れても問題なく、人数制限はないという。前野社長は「全員で一緒に見てから社内でも議論してもらった方が、情報のすれ違いが減るはず。ぜひ皆さんで来てほしい」と話す。また「このショールームでヒアリングした要望から、実際に製品が生まれている。実際に来て直接われわれに要望をぶつけて欲しい」とも話す。 同社は9月10日~13日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2024」に出展し、各種実機の展示を予定する。「展示会の後に寄るにも便利な場所にあるので、実際に見ていただきながら、困りごとをどんどん相談してほしい」と語る。
(ロボットダイジェスト編集部 斉藤安紀)
[取材記者から] 都心からほど近い場所で、自動倉庫をはじめ多種多様な自動化装置を検証できるのが、このショールーム最大の特徴だ。そして大人数で訪問できる環境がうれしい。実際に訪れて、じっくり議論することで得られる気付きはきっと多いだろう。議論から新しいソリューションが生まれるこの場は、まさに「ラボ」という名前がぴったりだ。 施設概要 名称:平和島ラボ 所在地:東京都大田区平和島1-2-20 見学の問い合わせはROMSのウェブページから。