2024.08.21
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シンプルなシステム構成で多彩なアプリケーション提案/カワダロボティクス

一度に5つのデモシステムを

セミナーなどに使う大会議室に5つのデモシステムを構築した

 同社は今年度に20以上のアプリケーションを開発しており、今年7月には、社内での技術検討などのため一度に5つのデモシステムを構築して展示した。

 1つ目が「ねじ締め」のシステム。右腕のグリッパーでねじ締め端子台をジグにセットし、次に端子をハンドリングして端子台に挿入する。左手には電動ドライバーを搭載し、最初にねじ締め端子台のねじを緩め、端子を挿入した後に締め付けて締結する。  デモシステムでは3種類の製品を生産でき、どの製品を作るかの指示は、右の動画のように架台の上に置いた立方体で行う。立方体の上面をロボット頭部のカメラで認識しており、どの面を上にするかで、作る製品を変えられる。「この方式なら、ロボットを操作できないパートスタッフでも指示内容を簡単に変更できる」と技術部技術二課の力石直也係長は話す。

 2つ目が、コバコを発展させた「コバコ バーコード/OCR」。コバコは箱を組み立てて、製品を投入するシステムだが、カメラで箱のバーコードと、製品に印字された製造年月日などを認識。間違いがないかチェックしながら作業ができる。  3つ目が、両方の腕でそれぞれワークをピッキングし、整列供給するシステム。作業の速さが特徴で、ワークの裏表を認識してそろえる工程まで担う。

バーコードや印字を認識する機能を備える

 外部機器による機能拡張も可能で、4つ目のシステムでは内蔵カメラとは別にカメラを設置した。コンベヤー上を流れる箱とお菓子を認識し、箱詰めするシステムだ。箱とお菓子のコンベヤーはそれぞれ速度が異なり、それらを動かしたまま、コンベヤートラッキング技術でお菓子をピッキングし、箱詰めする。箱の動きは頭部カメラで追っているが、お菓子の動きは別途設置したカメラで認識する。

特殊な光の照射でワークを立体的に認識するばら積みピッキングシステム

 5つ目は容器のばら積みピッキングシステムだ。ワークを立体的に認識しやすいよう、プロジェクターで特殊なパターンの光を照射し、頭部のステレオカメラでワークの姿勢や位置などを3次元的に認識する。  「HALCON(ハルコン)」という画像認識ソフトウエアも組み込み、ハードとソフトの両面から機能拡張できることを訴求する。  いずれのデモシステム も標準搭載の双腕アームと内蔵カメラを有効活用し、シンプルなシステム構成を実現した例だ。「システム構成をシンプルにできれば、三品産業などのロボットに慣れていないユーザーでも扱いやすく、周辺装置を減らせるためシステム全体のコストも下げられる。また、システム構築の手間を減らせ、SIerにもメリットは大きい」と藤井部長は話す。  開発した各デモシステムは常設の展示物ではないため、実物を見られる機会は少ないが、特徴をまとめた動画を作成し、今後順次公開する計画だ。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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