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2024.05.29

連載

[注目製品Pick Up!vol.65]40年前から最前線を走り続ける/タツタ電線「高力ケーブル」

さまざまな環境に対応

「顧客の要望に応じて柔軟なカスタマイズができる」と産業機器電線営業部の辰馬卯恒主任

 「高力ケーブルはおよそ40年前に開発したが、開発当時で既に性能は完成されており、今日に至るまで大きな改良を施す必要がなかった」と辰馬主任。「開発時は性能が高すぎるゆえに用途が非常に限られていたが、ここ10年ほどで需要が伸びており、時代がようやく追い付いたように思える」と語る。
 
 ケーブル内部に大きく手を加える必要はなかったが、ケーブルを覆う被覆材の改良を積み重ねてきた。耐熱、耐油、低摩擦性のビニール樹脂を素材とした被覆材を標準設定した。要望に応じて、高温に耐えられるものや、冷凍倉庫のような低温環境でも使える被覆材を提案する。
 「高力ケーブルはカタログ品もラインアップするが、オーダーメード品を製作するケースが非常に多い。顧客の要望に応じて、柔軟な提案ができるのも当社の強み」と強調する。

 環境対応にも力を入れており、材料に有機フッ素化合物(PFAS、ピーファス)を使わない被覆材も開発した。PFASは難分解性で、自然環境や人体に悪影響を及ぼすことが懸念される。
 「欧州連合(EU)ではPFAS規制が検討されており、いずれは日本でも同様の流れが来ると考えられる。それに対しての提案を用意する必要がある」と辰馬主任はいう。

さらなる顧客層の拡大を狙う

産業機器電線営業部営業の坂口博司グループ長(右)と辰馬主任

 同社のロボット向けケーブルのおよそ8割を高力ケーブルが占める。「発売当時より需要が高まったのは確かだが、使う場所が限られていることに変わりはない。ボリュームゾーンへの導入を狙い、ロボット向けケーブルのラインアップを拡充した」と産業機器電線営業部の坂口博司グループ長は話す。

 高力ケーブルほどの性能を必要としない顧客に向けて、2020年に「TRGVシリーズ」を発売した。今年7月に開催される展示会「ロボットテクノロジージャパン2024」では高力ケーブルとTRGVシリーズの両方を展示し、ロボット向けケーブルを大々的にPRする。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)


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