迫る「2024年問題」、物流業界の最前線に注目【後編】/国際物流総合展2023
フォークリフトに使えるメカナムホイール/ナブテスコ
ナブテスコのRVWを採用した、明和eテックのAMR「me-Rabo3」と坂井電機の自動フォークリフト「Auto Lift」
減速機大手のナブテスコはメカナム駆動ユニット「RVW」をアピールした。
全方向への移動ロボットには、ローラーの表面にスクリュー状の機構を斜めに複数付けた「メカナムホイール」がよく使われる。
そのメカナムホイールの内部に、同社の精密減速機「RV」を配置したユニット製品だ。コンパクトさと耐荷重の高さを両立した。
サイズはホイールの直径が10インチ(254mm)、15インチ(381mm)、20インチ(508mm)の3種類を標準品として用意した。
サイズが大きいほど耐荷重も高く、20インチでは、1輪あたり2.5tまで耐えられる。ただし、4輪で駆動するメカナムホイールの場合、重心位置の片寄りなども考慮し、余裕をみて4輪の合計耐荷重の75%程度とするのが一般的。それでも、7.5tまで対応できる。
会場では、同ユニットを搭載した顧客の完成品を実機展示した。
1つは明和eテック(愛知県豊田市、河原博社長)のAMR「me-Rabo3(ミラボ3)」だ。
周囲をセンシングして自己位置を判断して自律移動する「SLAM(スラム)誘導方式」を採用する。サスペンションを搭載して10mmの段差があっても走行できるのが特徴という。
もう1つが、坂井電機(三重県亀山市、坂井康秀社長)が開発中の自動フォークリフト「Auto Lift(オートリフト)」だ。
今までは狭い倉庫や積み降ろし場でも、熟練作業者が優れた運転技術でフォークリフトを操縦して作業してきた。自動のフォークリフトでは、小回りの利く制御が難しかった。
その課題を克服するために、坂井電機はメカナムホイールを採用した。ナブテスコのRVWの15インチタイプを使い、荷物の可搬質量は1.5tを保証する。
ナブテスコの担当者は「今までメカナムホイールは小型のAMRにしか使えず、それが当たり前と思われていた。耐荷重も高いメカナムホイールを世に出すことで、装置メーカーの認識を変え、自由な発想を促したい」と意気込む。