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　スマートシリーズの開発には、カーボンニュートラルや持続可能な開発目標（SDGs）など環境負荷の軽減を目指す流れの中で製造現場でも環境対応が求められる時代が来たという背景がある。従来の油圧クランプやエアクランプは油圧ポンプやコンプレッサーを作動させて動力を得るため、電力消費が大きく環境への負荷が小さくない。現場に合わせて動力源を選択できるスマートシリーズは、ニーズに応じて油圧レスにもエアレスにもオール電動にも対応できる。 　環境負荷への配慮だけでなく、作業環境に条件のある食品や医療関連のニーズにも対応しやすい。例えば製薬業界では油圧や空圧のいずれも嫌い、メカニカルな専用機か人手で製造することが多いため、自動化がなかなか進まない。そういった現場にも提案できることから、同社にとっては新規顧客の開拓につながる可能性を秘める。

　スマートシリーズは使い方の自由度が高く、現場の使い方に柔軟にフィットする。「これまでの納入や引き合いの中には、どう活用するかこれから検討するお客さまも多い」と佐藤室長。一方で、使い方の自由度の高さゆえ、かえって使い手を選ぶ側面がある。「生産技術の専門部署があり工程の改善にも積極的な大手メーカーの方が、自由な発想で検討しやすいかもしれない」と話す。 　今後も、スマートシリーズのラインアップ拡充に向けて製品開発を進める。JIMTOF2022では、切削加工など強固なクランプ力が必要な用途向けに、コンパクトに油圧を完全封入した「スマートジグシステム」を参考出展した。油圧ポンプなど外部の動力源が不要で、スマートシリーズの一つとして製品化を進めている。 　油圧や空圧を漏れなく封入するノンリーク技術は同社のコア技術で、その実現には高度な金属加工技術が欠かせない。スマートシリーズは、培った金属加工の知見を幅広く生かしながら、省エネや環境対応に挑戦した結果として生まれた。「まずはラインアップ拡充やお客さまへのPRに力を入れる。市場ニーズをとらえながら、ゆくゆくは主力製品としたい」と意気込む。

（ロボットダイジェスト編集部　松川裕希）