[ロボットが活躍する現場vol.27]ロボット化して事業立て直し/ニッキフロン
浸水被害を機にロボ導入
同社はロボットシステムの導入に1億2000万円、クリーンルームの設置を含めると2億円を投じた。補助金を活用したとはいえ、生産の継続そのものが危ぶまれる状況での投資としては、大きな決断だ。そう決断させたのは、2019年10月に発生した水害。長野市を流れる千曲川の堤防が決壊し、浸水被害が出た。新幹線の車両基地が水に浸かった様子を覚えている読者もいるだろう。同社の工場も約2m浸水し、多くの生産設備がダメージを受けた。
使えなくなった設備も多かったため、元通りに戻すだけの復旧でなく、自動化や二酸化炭素排出量削減などを盛り込んだ「イノベーション復旧」を目標に設定した。かねてから技術部よりダイヤフラムの製造ラインでロボット導入が提案されており、「搬送など汎用的な技術は社内で水平展開できると考えた」と春日孝之社長。また、「もともと古い設備だったので、単純に復旧させても意味がない。将来的な事業の成長を見据えて決断した。技術部の担当者はロボット化に備え、工程や動作の検証に非常に熱意を持って取り組んでいた」と振り返る。