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2023.05.10

イベント

初のAIイベントで、検査や搬送の自動化を提案/武蔵精密工業

2割が搬送、6割が製造、2割が検査

イベントではAMRとマエストロAMRのデモを披露

 イスラエルに本社を置く634 AIは21年に新設した合弁会社で、AMRや集中管理システム「MAESTRO(マエストロ)」の開発を担う。マエストロは市販のカメラで撮影した映像を基に製造現場の情報をリアルタイムで一元管理できるAIプラットフォーム(基盤)で、アナット・カファンCEOは「全てを見て、全てを理解し、製造現場全体の動きを統御する中央管制塔の役割を持つ」と説明する。
 現在は①製造フロア内の人や物の情報を可視化して生産性や安全性を高める「マエストロフロアー・マネジャー」②カメラ撮影で可視化した情報を分析する「マエストロインテリジェンス」③人の接近などをアラートで知らせて有人フォークリフトの事故を減らす「マエストロガード」④自社製AMRをコントロールする「マエストロAMR」――の4つの機能がある。これらの機能は顧客ニーズに応じて、柔軟に組み合わせて使うことができる。

イベントに登壇した首脳陣。左から634 AIのアナット・カファンCEO、武蔵精密工業の大塚浩史社長、SIX AIのラン・ポリアキンCEO、Musashi AIの村田宗太CEO

 ④のマエストロAMRには、カメラで撮影した製造フロアの情報を基にAIがAMRの走行ルートを自動で生成する機能などがある。ルート上に障害物があってもカメラがそれを検知し、マエストロが迂回ルートを走行するようAMRに指示を送る。また、工場内の機械設備の稼働状況に合わせ、AMRのスピードも自在にコントロールできる。
 イベントでは、カメラとAMRに搭載されたライダーセンサーを併用し、異なる位置にあるパレット(荷役台)の穴にフォークをそれぞれ正確に刺し込む動作デモを披露して参加者の関心を集めた。

 AI外観検査装置やマエストロは、従来は人手に頼っていた検査や搬送の工程を自動化するAIソリューションだ。村田CEOは「われわれの試算では、製造現場で働く人のうちの2割が搬送、6割が製造、2割が検査を担当しており、搬送や検査の工程は自動化の需要が非常に高い。これら2つの分野の自動化を推進するため、それぞれの分野に特化した合弁会社を立ち上げた」と語る。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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