生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.07.07

「ライン全体の自動化を支援」、協働ロボ専業SIerの次の一手/IDECファクトリーソリューションズ武仲清貴社長

将来は100億円の規模に

「一歩引いた目線で自動化を提案したい」と語る武仲清貴社長

――4月30日にはスキューズのFA事業を譲り受けました。
 スキューズは食品業界、特にコンビニ弁当やサンドイッチなど「中食」向けのFA装置を得意としています。弁当のふたを乗せるふた掛け装置や、弁当などを箱詰めする移載装置などの実績が豊富にあります。コンビニ用の食品工場は自動化が進んでおらず、わが社も協働ロボットシステムの提案に注力していました。スキューズとはその点で事業の方向性が合致し、シナジー効果が発揮できると期待して事業を譲受しました。実は、スキューズはFA装置の事業とは別に、自作ロボットなどを開発するロボット事業も手掛けていましたが、今回はFA事業のみを一部の従業員と共に引き継ぎました。京都市南区にあるスキューズの本社工場は、わが社の京都事業所として運営します。

さまざまな協働ロボットを見学できる協調安全ロボットテクニカルセンター。スキューズの商材も展示される(21年2月4日撮影)

――コンビニ用の食品工場への提案を強化するのですね。
 コンビニ業界では食品の鮮度向上や廃棄ロスの削減を目指し、弁当やサラダ、サンドイッチなどの容器やフィルムを常に改善しています。そうすると当然、新しい生産設備が求められ、生産ラインの形も変わります。しかし、コンビニ用の食品工場には現状、生産ライン全体を俯瞰(ふかん)して目まぐるしい変化に素早く対応するための技術者が不足しています。ですから、今回のスキューズの事業譲受を機に、一歩引いた目線で自動化を提案したいと考えています。これまでは協働ロボットを使って特定の工程を自動化するのが中心でしたが、今後はIDECグループの技術や人材を活用しながら、顧客の生産ライン全体の自動化も支援したいです。スキューズはこうしたコンサルティングサービスなども手掛けていたので、そこをもっと強化するイメージですね。もちろん、スキューズのFA装置と協働ロボットを組み合わせた自動化ソリューションも積極的に提案します。新本社工場に設ける協調安全ロボットテクニカルセンターにもスキューズの商材を展示します。

――今後の展望をお願いします。
 現状の売上高は約34億円ですが、26年3月期には50億円を達成したいです。そのためには生産能力を増強する必要があると考え、新工場や新本社工場の建設プロジェクトを進めました。また、将来は100億円の達成も目指します。その規模まで成長するためにも、既存の制御システムや協働ロボットシステムの事業だけではなく、生産ライン全体の自動化支援にも注力します。先ほど言ったように、コンビニ用の食品工場には新しい生産設備が随時導入されると思いますから、コンビニ業界だけでも大きな市場が見込めます。すでに具体的な案件もありますので、まずはそこでしっかりと実績を積み重ねたいと考えています。最終的には「課題解決ができるSIer」「頼られるSIer」になるのが目標です。

――ありがとうございました。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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