[注目製品PickUp!vol.33]重労働の研削作業を遠隔操縦ロボットで【前編】/川崎重工業「Successor-G」
サクセサーGで技能継承も
サクセサーとは英語で後継者を意味する。サクセサーには遠隔操縦モードに加え、作業者の動きを記憶し再現する自動運転モードがある。
新人作業者がコミュニケーターに手を添え、遠隔操縦モードで記憶したベテラン技能者の動きを再現すれば、まさに「手取り足取り」の状態で技能を学べるのだ。
このトレーニング機能は、サクセサーのコンセプトである技能継承を体現するが、現時点では新入社員の研修や、展示会でのロボット操縦体験に活用している。
長谷川理事は「今のところはロボットで自動化できればいいという声の方が高い。ただし、将来的に間違いなく高まるニーズ。将来像を示せたことに価値がある」と強調する。
遠隔操縦で重労働や危険作業を解消
最小限の遅延で、軽い力で動かせるが、フィードバックの抵抗も感じる
サクセサーのもう一つのコンセプトが遠隔操縦だ。
「ロボットと人が協調作業しようとする時、安全装置があっても大きなロボットの間近では、恐怖心を抱く場合もある。そのような場合にも、人とロボットを離して使えれば可能性の幅が広がる」と説明する。
サクセサーはコミュニケーターやネットワークカメラを通じて、視覚、力覚、聴覚にフィードバックを受けながら作業できる。遠隔操縦を体験した顧客からは、「建設現場の高所作業に使えないか」「製鉄所の高炉の高温下でのノロかき(不純物を掃き出す作業)を遠隔でできないか」など、重労働や危険作業への引き合いがあった。
「サクセサーやサクセサーGは極端な環境で使うことを想定していないため、そのまま適用することはできないが、ニーズの高さが実感できた」と長谷川理事。ロボット本体に特別な改造をする訳ではないので、用途に合ったロボットがあれば遠隔操縦はできる。「サクセサーGの発売をきっかけに、さまざまな用途に展開したい」と展望を語る。
――後編に続く
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)