「人と機械の共生」で自動化/安川電機
AIで工数削減やばらつき改善
YCPはビックデータ解析やAI機能とも連携でき、同工場でもこれらを積極的に導入する。
用途の一つが、モーターにエンコーダーを組み込む際の同芯調整作業だ。これまでは、芯位置の確認やそれに合わせた調整など、多くの工数がかかったが、ビッグデータを解析することで装置の癖などを解析し、調整にかかる工数を45%削減した。
完成したモーターを回した時に異常がないかを検査する異音検査にはAIを導入した。人がこの工程を担うには事前に9カ月のトレーニングが必要で、ベテランと初心者の検査時間の差も大きかったが、AIで音を解析することでトレーニングが不要になり、検査時間のばらつきもなくせる。
「まだAIでは100%正しい判断はできないが、基準を厳しめに設定してグレーゾーンの製品も含めて検出することはできる。人ははじかれた物だけ最終判断すればいいので、十分役に立つ」(白石工場長)。
その他、工場内で稼働するロボットに内蔵された減速機の摩耗の状態なども把握し、予知保全に役立てる。
また、顧客にアイキューブメカトロニクスを提案するためのショールームとしても同工場を活用する。
「細かな仕様の違いを掛け合わせると1000種類ほどの生産品種数になり、これまでの生産方式では効率的な生産や生産管理が難しかった。そこで自社の課題解決のためにYCPや新たな生産方式を採用したが、同様の課題を抱える企業は多い。このソリューションファクトリが課題解決の糸口になれば」と白石工場長は話す。
(編集デスク 曽根勇也)
※この記事の再編集版は「月刊生産財マーケティング」2019年9月号でもお読みいただけます。