生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2019.09.20

活用事例

「人と機械の共生」で自動化/安川電機

AIで工数削減やばらつき改善

「AIも活用する」と話す白石聡工場長

 YCPはビックデータ解析やAI機能とも連携でき、同工場でもこれらを積極的に導入する。

 用途の一つが、モーターにエンコーダーを組み込む際の同芯調整作業だ。これまでは、芯位置の確認やそれに合わせた調整など、多くの工数がかかったが、ビッグデータを解析することで装置の癖などを解析し、調整にかかる工数を45%削減した。

 完成したモーターを回した時に異常がないかを検査する異音検査にはAIを導入した。人がこの工程を担うには事前に9カ月のトレーニングが必要で、ベテランと初心者の検査時間の差も大きかったが、AIで音を解析することでトレーニングが不要になり、検査時間のばらつきもなくせる。

 「まだAIでは100%正しい判断はできないが、基準を厳しめに設定してグレーゾーンの製品も含めて検出することはできる。人ははじかれた物だけ最終判断すればいいので、十分役に立つ」(白石工場長)。
 その他、工場内で稼働するロボットに内蔵された減速機の摩耗の状態なども把握し、予知保全に役立てる。

従来の約3倍の生産性を実現(写真はモーター部品の組み立て工程)

 こうした一連の工夫の積み重ねで、生産性は従来の約3倍、リードタイムは6分の1を実現した。
 以前は受注から出荷まで1週間ほどかかったが、今では1日以内に出荷できるという。ソリューションファクトリで採用した生産方式や得たノウハウを、今年度から他の工場にも水平展開し始めた。

18台のAGVが工場内を巡回する

 また、顧客にアイキューブメカトロニクスを提案するためのショールームとしても同工場を活用する。

 「細かな仕様の違いを掛け合わせると1000種類ほどの生産品種数になり、これまでの生産方式では効率的な生産や生産管理が難しかった。そこで自社の課題解決のためにYCPや新たな生産方式を採用したが、同様の課題を抱える企業は多い。このソリューションファクトリが課題解決の糸口になれば」と白石工場長は話す。

(編集デスク 曽根勇也)



※この記事の再編集版は「月刊生産財マーケティング」2019年9月号でもお読みいただけます。

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