[注目製品PickUp! vol.9]設置面積は座布団以下!? 500mm四方に収まるコンパクトなロボット【前編】/スギノマシン「スイングアーム式コラムロボット」
同じスペースなら可搬質量3~4kg
コラムロボットは、上下2本のリンク(節)でアームを支えている。上下のリンクは、ボディー上を真っすぐ動く2つの軸と連結している。この2本のリンクでアーム先端の荷重を分散するため、アームの質量に対して高い剛性を持たせることができる。
「パラレルリンクロボットは複数のリンクでロボットの先端を支えるため、アームが非常に軽い割には剛性が高く、素早く動かせる。当社のコラムロボットもアームを支えるのにリンクを使っており、構造的にはパラレルリンクロボットに近い」と青木係長は説明する。
また、一般的な多関節ロボットは可搬質量が大きくなればなるほど、材料の重さに負けずにプログラム通りの安定した動作ができるよう、アームにはより高い剛性が求められる。その結果、手首から土台に近づくにつれ大型のモーターや減速機が必要になり、ロボット全体が大型化する。
一方、コラムロボットの場合、リンクを使った機構でアームの剛性を十分に確保しているため、土台に大型のモーターを使わなくてもロボットを動かせる。これこそが、最大可搬質量15kgのロボットがわずか500mm四方の狭小スペースに設置できる理由だ。
直線軸でアームの位置が決まる
リンクを使用した独自の機構は、アームに対する剛性の高さだけではなく、使いやすさにも生かされる。ティーチングと呼ばれるロボットのプログラムを生成する作業が簡単なのもコラムロボットの特徴の一つだ。
垂直多関節ロボットは、多数の回転軸の組み合わせで位置や姿勢を決める。「アームが真っすぐ移動する」というシンプルな動作でも、最低2つ以上の回転軸を動かす必要があるという。
また、ロボットを動かす時、構造上どうしても肘が外側にはみ出すことがある。こうした肘のはみ出しなど、ティーチング時には気を配らなければならないポイントが非常に多いため、ロボットのプログラム作成は難しく手間がかかる。
一方、コラムロボットは、ボディー上にある上下2つの軸でアームを動かす。下の写真のように、2つの軸のうち上の軸だけを動かすと下のリンクが前方に倒れ、アームの突き出しの量、つまり前後方向の動きを調整できる。2つの軸を両方とも平行にスライドすれば、リンクの位置を固定したままアームの高さだけを変えられる。
要するに、2つの軸をどう動かすかでアームの大まかな位置関係を決めることができる。
「コラムロボットは直線的な軸の動きの組み合わせが多い。そのため、オペレーターがロボットの動きをイメージしやすく、プログラムを作りやすい」と青木係長は語る。