大手も参入、ロボ研磨に注目。3Mジャパンが愛知産業と連携【後編】
作業経験者が開発・改良
スリーエムジャパンと愛知産業は11月29日、愛知産業のエンジニアリング本部がある相模原事業所(相模原市南区)で記者会見を開き、今回の提携を発表した。会見後にはロボット研磨の加工実演の他、手持ちのハンドグラインダーによる研磨作業の体験会も開かれた。研磨作業がいかに重労働かを知ってもらおうとの狙いだ。
本誌記者もハンドグラインダーでの研磨作業を体験してみたところ、溶接ビードの研削は、ビードの方向にハンドグラインダーを持っていかれ、思うように制御できない。初心者では、たった1分足らずの作業時間でも心身ともに疲れ果てるような重労働だった。
「私自身が日に8時間、ハンドグラインダーで研磨作業をしていたから、その大変さが分かるんです」――。不慣れな作業に悪戦苦闘する記者らに、愛知産業の技術開発者は語りかける。研磨作業の大変さを知る経験者だからこそ、現場のニーズにマッチした製品を作れたと話す。
ロボSIer事業は重点分野
「ロボットSIer事業は今後の重点分野。ここ2~3年でロボット研磨の需要は年率1.5倍で伸びている」と愛知産業の井上社長は話す。
両社の協業で、より一層の技術開発が進むはずだ。例えば、ロボットによる連続研磨では作業途中で目詰まりが生じてはならないが、アルミ材など目詰まりしやすい素材でも最近はロボット研磨ができるようになったという。従来は手作業でしていた黒皮(鋼材表面の黒い酸化被膜)の除去なども可能だ。
前編で触れたように、研磨工程ではまだまだロボットの活用が進んでいないが、潜在的な需要は大きい。研磨材メーカーやSIerが互いに協力し、ロボット研磨に最適な使用条件の研究などが進めば、導入のハードルが下がって今後の普及拡大が期待できそうだ。
――終わり
(ロボットダイジェスト編集部)
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