“導入しやすい”自動化システムに脚光/ヤマザキマザック
いかにびびり振動を抑えるか
アンコールフェアでは数多くの自動化システムの展示に加え、自動化や無人化を進めるうえで必要となる新たな加工技術も紹介した。
「びびり振動」と呼ばれる加工中に発生する振動を、AIを使って抑制する機能「スムースAI主軸」だ。
びびり振動とは、工具と加工物が共振(物体の振動が、外部の振動と同期してさらに大きくなること)を起こすことで発生する。加工物に振動した跡が残るため、加工現場ではいかにびびり振動を抑えるかが重要だ。
びびり振動が発生すると、加工中に突然「キーン」という甲高い音が鳴る。こうした甲高い音が鳴った場合、従来は熟練の作業者が勘と経験を頼りに加工条件を修正することで、びびり振動を抑えていた。
熟練作業者が機械1台につき1人いればびびり振動に対応できるが、人手不足が深刻な加工現場ではそうもいかない。また、自動化や無人化が進み、加工現場に人がいない場合も多い。
では誰がびびり振動を感知し、誰が加工条件を調整するのか――。マザックの出した答えが、AIによる自動調整だった。
AIで加工面品位と生産性を両立
スムースAI主軸は、回転工具用主軸にセンサーを取り付けて常に振動を監視し、びびり振動を検出するとAIで加工条件を自動調整してびびり振動を抑える機能だ。独自開発したAIアルゴリズム(問題解決の手順)により、生産性は極力下がらない加工条件の調整で、びびり振動を抑える。そのため、加工面の品位と生産性を高いレベルで両立できるのが大きな特徴だ。
「今後、製造現場の自動化や無人化を進めるうえで、こうした機能は必須になる」と堀部和也執行役員ソリューション事業部長は語る。
会場では、NC旋盤とMCの機能を1台に集約した複合加工機「INTEGREX(インテグレックス) i-500」を使って、スムースAI主軸の加工実演も披露した。スムースAI主軸の使用前後での加工音や加工面の違いに、多くの来場者が関心を寄せた。
スムースAI主軸は、複合加工機「インテグレックスiシリーズ」のオプション機能として搭載。今後、他の機種にも順次展開する予定だ。
(ロボットダイジェスト編集部)