• 連載
2018.11.01
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[SIerを訪ねてvol.1] 食品向け開拓し、組み合わせ技術磨く/オフィスエフエイ・コム【前編】

引き合いの半数が「三品産業」

地元の栃木県には日産自動車やいすゞ自動車の工場があり、自動車産業が盛んだ。取引先も自動車関係が多いが、近年は「三品産業(食品・化粧品・医薬品産業のこと)」の開拓に力を入れる。  三品産業向けの売り上げは5年前には全くなかったが、今では2割を占め、引き合いではすでに半分が三品産業だ。  「自動車は新車の販売終了後も保守部品の製造があり、部品の製品寿命が長い。一方で三品産業は製品寿命が短く、保守部品もない。専用機よりも汎用性に優れるロボットシステムが適した分野で、将来は巨大な市場になる。『三品産業ならオフィスエフエイ・コム』と言われるようになりたい」と飯野社長は話す。

食品向けでは速さが重要

特に力を入れるのが食品産業だ。  弁当の盛り付けや、番重と呼ばれる底の浅い容器におにぎりを詰める作業、レトルト食品の箱詰めなどにロボットシステムを提案する。  食品産業でロボットを使う場合、衛生面に加えて「作業スピードがとても重要。食品の多くはそれほど単価が高くないので、速くなければ利益が出ない」(飯野社長)。

レトルト食品の箱詰めシステム
おにぎりの番重詰めシステム

新分野で新たなノウハウを獲得

床の緑のラインを超えるとロボットが自動停止する

すでに豊富な実績がある自動車や金属加工に加え、食品など新たな産業に挑戦することで、自社の技術やノウハウの幅を広げるという。  例えば食品産業では、生産技術などの部署がないことが多く、日ごろの運用や保全が簡単なロボットシステムを構築する必要がある。そのためのノウハウは、物流など生産技術部門がない他の産業でも役に立つ。  また食品向けと自動車部品向けとでは適したセンサーが違うため、扱えるセンサーの種類も増えた。  「ロボットもセンサーも社外からの購買品だが、それらを高いレベルのシステムにまとめ上げるには『組み合わせの技術』が必要。渡り鳥のようにさまざまな業界を経験し、幅広い技術やノウハウを蓄積できれば」と飯野社長は語る。

――後編に続く (ロボットダイジェスト編集部)

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