[2023国際ロボット展リポートvol. 15]各社各様でロボットメーカーの個性光る【後編】/三菱電機、ファナック、オムロン、不二越
自社工場のラインをコンセプト化/オムロン
オムロンは2015年に米国のロボットメーカーのアデプトテクノロジーを買収して本格的にロボット事業をスタートさせ、各種センサーやコントローラーで培った制御技術を生かし着実に成長させてきた。広報担当者は「iREX2023では、自社工場の製造ノウハウをコンセプトに落とし込んだ」と話す。
中でも、ロボットが薄く柔軟なフレキシブルケーブルを巧みにつかみ、コネクターに挿入するデモは、多くの来場者の関心を呼んだ。このラインではコントローラーでデータを収集しており、トラブルが発生した時には発生時の映像やデータを見返すことができる「オートメーションプレイバック」機能をPRした。
また、自律走行型搬送ロボット(AMR)の「モバイルロボット」を用いたデモでは、モバイルロボット上に製品を載せたまま検査する様子を披露した。モバイルロボット上のマークを撮像して解析し、位置情報を補正する手法を採用した。ロボットがメモリーカードの表面にシールを貼付するデモでは、気泡が入らないような動作で貼るなど、ロボットの使い方に工夫を見せた。
基板搬送に向く新機種/不二越
不二越はブース内に約50台のロボットを展示し、同社ロボットのラインアップとアプリケーション(使い方)の多様さをアピールした。
大きな目玉は、今年8月に発売した協働ロボット「CMZ05」。高い速度と精度が特徴の産業ロボット「MZシリーズ」をベースに改良した。今回展では、無人搬送車(AGV)にCMZ05を搭載した活用事例を参考出展するなど、協働ロボットの提案を強化した。
ロボット事業部戦略本部の河越克己副部長は「高速かつ高精度で動く協働ロボットのニーズに応えるために開発した。今後は協働ロボットのラインアップの拡充も目指す」と語る。
電気・電子分野に向けた基板搬送のデモシステムには、MZシリーズの新製品「MZ-12W」を組み込んだ。
根元に独自の構造を採用し、ラックから基板を取り出す際などに柔軟な動きをできるようにした。他にもコネクターの挿入作業や摩擦攪拌接合(FSW)、ねじ締めなどさまざまなデモシステムを並べ、同社の提供するソリューションの幅広さを訴求した。
――vol.16(2024年公開)に続く
(曽根勇也、松川裕希、水野敦志)
                            
            
