外観検査をAIだけに頼らない!“あえて”リモート目視も取り入れる/リモートロボティクス×TDSE
精度を追いすぎず、あえて目視も
展示会でTDSE Eyeを出品した際に、AIに100%完ぺきな精度を求め、外観検査作業の完全な無人化の実現を求める来場者もいたという。 AIの精度を上げるためには、正常、異常のしきい値近辺にあるワークを人が判断し、再学習をし続ける必要があるが、この微妙な判断は人の目視検査でもばらつきがある。判断基準がばらついたままではAIも判断に迷いが出てしまう。特に導入時は、AIでも良品か異常かを明確に判断できないケースもあり、必ずしも全ての製品を完璧に検査できるわけではない。これはTDSE Eyeに限った話でなく、AI外観検査システムそのものの課題として挙げられる。 完全自動化を目指すためには、AIが正常と異常を正確に判断できるようにする必要があるが、現実には難しいのが実情である。しきい値を下げて異常の見逃しをゼロにした場合、良品を異常と判断する「巻き込み」も起こってしまう。その許容範囲を狭める調整に時間をかけすぎている。 良品AIを市場に投入した背景は、教師あり学習での課題だった導入まで時間がかかるとのハードルを下げることで、目視工程を高度化・効率化するためだった。「現状は本来の目的である検査の効率化でなく、100%の精度を追い求める方向へいってしまい、1年も2年も検証として改善を続けているのが実情」と柴田グループ長。「AIで明らかな異常と明らかな正常を判断し、判断をつけにくい微妙なものはあえて目視を残すことを推奨する」と話す。 とはいえ、作業者をどのように配置し、作業をしてもらうかを工夫しなければ、結局は通常の目視検査と同様の工程になってしまい、AI外観検査システムのメリットが失われてしまう。 その課題に対する効果的な手段として目を付けたのが、リモートロボティクスのクラウドサービス「Remolink」だ。遠隔地からロボットに動作の開始や停止などの指示を送ることで、リモートでロボットの遠隔操作ができるサービスで、昨年7月に提供を開始した。 作業の全てをロボットに置き換えられない場合でも、ロボットで代替できる部分が少しでもあれば必要に応じてロボットと人との役割分担ができ、人にかかる負担を軽減できる。